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パキスタンの電源構成

パキスタンの電源構成は火力が6割、水力が3割弱を占めています。水力発電は、雨季・乾季や天候により発電量が左右されるため、火力発電が最大のシェアを占めています。

パキスタンの発電設備容量は 43,775MW で、電源別の割合は、火力 26,683MW、水力 10,635MW、風力 1,838MW、太陽光 630MW、その他となっています。※2022年6月時点

パキスタンの電源構成

パキスタン最大の火力発電所は、総発電量 2402 MW を誇る、シンド州にあるグドゥ火力発電所です。主に天然ガス、石炭、石油の3種類の燃料が使われる火力発電では、パキスタンはエネルギー供給量の半分ぐらいを天然ガスが占めています。パキスタンのシンド州にはガス田があり天然ガスも生産されるのですが、カタール、イラン、米国からの輸入も増えています。

グドゥ火力発電所

パキスタンの主な水力発電所は、建設当時世界一大きいアースダムといわれたタルベラ・ダム、世界最大の埋め立てダムのひとつであるマングラ・ダム、それから、パキスタンの国家的メガプロジェクトであるニーラム・ジェラム水力発電所があります。

ニーラム・ジェラム水力発電所

パキスタンには高い山々が多くあるため、水の位置エネルギーを電力に変える水力発電に最適な地形が多くあります。水力発電は国内で利用可能な電力源を提供できるため、水力発電のシェアを高めることで発電価格のバランスを取り、輸入燃料への依存を減らし、エネルギー安全保障を強化することができます。

現在、パキスタンのエネルギー部門は石油などの輸入燃料に大きく依存しています。輸入燃料には巨額の外貨が必要です。しかし、ダムからの水で稼働する水力発電は、発電にかかる燃料費はゼロにすることができます。新しい水力発電所を増設し、国内資源を活用してエネルギーの対外依存度を下げることは政府の喫緊の課題となっています。