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ムガル帝国の細密画

16世紀初頭から19世紀半ばまでインド亜大陸を統治したムガル帝国は、芸術、文化、建築への多大な貢献で知られています。細密画は、ムガル帝国の数多くの文化遺産の中でも非常に複雑で精緻な芸術形式として際立っています。

ムガル絵画は、歴史上の出来事、宗教的な物語、神話の物語がよく描かれていました。これらは視覚的な楽しみだけでなく、教育ツールとしても役立ちました。また、肖像画、宮廷生活の出来事、風景、野生生物、狩猟の風景、戦闘の風景などもよく描かれていました。

バハリスタン「春の園」

画家はリスの毛で作られた細い筆を使用して、複雑なパターンや繊細なラインを作成し、細部まで捉えます。そして、鉱物、半貴石、有機物質に由来する色を含む天然顔料を使用し、鮮やかで耐久性のあるカラーパレットを作り出しました。

リスの毛の筆

ムガル絵画は、特定の要素を強調するために金箔や金粉が追加されることが多く、芸術作品に豪華で明るい品質を与えています。

グリスタン「花園」
装飾写本「カムサ・ニザミ」

ムガル絵画は、第1代皇帝アクバル、第4代皇帝ジャハーンギール、第5代皇帝シャー・ジャハーンの時代が最も充実しています。芸術の熱烈な後援者であったアクバル大帝は宮廷に芸術家や学者を呼び、ペルシャ、インド、中央アジアの影響を組み合わせた独特の絵画を発展させました。しかし、第6代皇帝アウラングゼーブは、絵画の振興に余り関心を示す事がなかったため、ムガル絵画は徐々に衰退していきました。

パキスタンでは、ムガル絵画の遺産が、その複雑な美しさ、文化的重要性、時代を超えた魅力を探求し続ける現代芸術家の熟練した手によって生き続けています。それは芸術の伝統が永続的で異文化を超えた性質を持ち、視覚的に魅惑的で文化的に豊かな方法で過去と現在を結びつけている証拠です。


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