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永遠に絶対最強の17歳のあなたに


死ぬまで一生愛し続けるからと、だれかに言われたことはある?
あなたは自分の宝だと、だれかに言われたことはある?


17歳の頃はこの世の全てが敵で、
この世の全てを舐め腐っていた。
17歳の頃は何も知らなかったから、
怖いものなんてひとつも無かったから、
だからこの世の悲しみはぜんぶ知っているつもりで、喜びはそこかしこに在って当たり前のものだった。

親に黙って男の家に泊まりに行っても、変な格好で高校に行っても、予備校をサボってレイトショーに行っても、作ってもらった弁当をコンクリートに投げつけても、携帯を捨てて福島に逃げても、大丈夫だった。

自分を大切に生きていなかった数年間の大きな大きなしっぺ返しは、数年間かけてきちんとやってきた。もう十分だよって思っても、構わず運命はわたしの頬を引っ叩く。
足りない足りない足りない足りない。
こんなんじゃ全然足りないよ。と、優しく笑う。

そして時に運命は、その痛みを一晩で忘れさせるような甘くてうっとりするような素敵な時間を突然プレゼントして、それでまた、この世の地獄のような景色を今度は正面から全身にぶつけてきたりするのだ。


いびつに尖った石は、どんどんどんどん削られて、まるみを帯びて、いびつで不思議で誰のものとも似つかない、とっても魅力的なかたちに変わっていった。


絶対最強の17歳は、たくさん間違っていたけれど、そこまで間違ってはいなかった。けれどそんなに虚勢を張らなくたって世の中は怖くなかった。でもだけど、
17歳じゃなければ、虚勢なんて張れなかった。
背伸びをして一生懸命だった17歳は可愛かった。

もがいて苦しんで、ここではないどこかへ行きたくて、誰も自分の苦しみなんて理解できなくて、みんながみんな勝手に人生を歩んでいて、
焦って、走り方も忘れそうになりながら走って、それでも苦しくて
遂には沖縄にまで行ってしまった。


想像もしなかったよ、こんな過酷で素敵な人生。
わたしは笑う。
17歳の頃に聴いていた音楽を聴きながら、
OLDEN TIMESのTシャツと
素敵な言葉をお守りに、歩く。
今日この身体に宿るのは、今日始まった人生だ。

今日まで来るのに26年と22日かかってしまった。
きっと今も遠回りの真っ最中。
だけどひとまず今日までの遠回り、
ほんとうによく頑張った。


今日人生が始まって、
明日もまた人生を始めるんです。


2023.06.07 nomura elico

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