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詩│その手いっぱいの春

春の植物園

木々や草花笑ってる

閉め切ったままだった

北の窓を開けたかのように

心の中をあたたかな風が吹く

蛇行しながら歩く子供のように

緑深まる芝山を歩いていけば

黄色の蝶々も足にまとわり戯れる

(君と楽しくお話したいのよ)

タンポポの白いドームが可愛くて

フ―っと息を吹きかける

歩けぬ草花も風と共に旅をする

大きなくすのきの下で

あの子の帽子は裏返り

木の葉や花びら葉っぱで一杯

何かお話をしながら

帽子に入れては出しをしている

石ころ見つけちゃあ

あっちへ行ったリこっちへ行ったり

草を石でたたいて緑のお料理
作るのよ

大きなくすのきそれを見て

小さな手を見て嬉しそう

(その手にしたものを
   おぼえておくんだよ)

私はここで咲く草花になれたら

嵐が来る前に君に摘んで貰って

部屋に飾ってもらいたい

話しかけられているうちは

何日でも咲いていられそうです

いつしか枯れ落ちても

悲しくはないようにまたきっと

風が運んでくれる

綿毛のドームが線香花火

はじけて天使が宙を舞う

そっと心に種を落とす

ありがとうの花が咲く

緑の空のあちこちに

小さな黄色の花火かな


きっと歩けぬ草花も旅をする

私の心も導かれ

飛んでいけたらいいのにな


下ばかり見ていたあの子がふと

くすのきの高さを仰ぎ見る

大きく高くのびる枝葉の更に

上を飛ぶ鳥を

言葉にならないものを

その目に映している

タンポポ綿毛をおもいきり

あの空へ飛ばそうか

遠く遠くに飛んでいくんだよ

あの鳥もきっと君に憧れている

その君のような手が欲しいと

その手に掴んだものを

大切にするんだよって

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