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snafu_2020
詩│夜にみた紫陽花は
夜にみた紫陽花は優しかった
ひとつ星、ふたつ星、みつ星と
数えて眠ったあの夜の子守歌みたいだった
夜にみた紫陽花はバラードだった
ひとつ、ふたつとあなたの名を呼びながら
とろりと眠りに落ちたあの透明な雫が集まって
ふわりと咲いていくようだった
明るさが眩しいLEDの街灯に映る白昼夢
柔らかな森の中へ
初夏のきらめきを溶かしながら流れる
山翠の清き水の音が
行く道を祝福してくれているようだった
川上から運ばれた桃のように咲いた紫陽花は
あの子の浴衣のようだった
夜風にのって虫の声が祭りばやしになっていく
夜にみた紫陽花はきれいだった
あの子の頬を照らした花火みたいだった
夜にみた紫陽花はうつくしかった
おもってもおもっても
透明でしかないきみへのおもいが
淡く色ずいて
純粋に咲いたようだった
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