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今回のお題は、月。

月かあ、と思って数日間過ごしてみた。

月かあ、と思ってまず辞書を引いてみた。
「満月」や「三日月」といった衛星に関すること、
「毎月」や「月極」といった期間に関すること、
「月輪」や「月天子」など宗教に関すること、
幅広い意味があった。

月かあ、と思って帰り道夜空を見上げた。
冬らしいはっきりとした暗い紺に、
まっしろな月が光っていた。


月かあ、と思って思い出したのが、「月下美人」である。


「月下美人」はサボテン化の多肉植物である。
確かに、言われてみれば葉っぱが少し刺々しいかな、というくらいで、
一般的に想像するサボテンとはかなり遠い。
花は白く、夜に咲き始め朝にはしぼんでしまう。

東京にある実家には、大きな月下美人の鉢植えがひとつある。
いつあるのかは知らないが、母の手入れがいいせいか、
ここ数年は毎年一回もしくは二回、花を咲かせている。

背丈はとても高い。
蕾もとても大きい。
もちろん花も大きい。

蕾が膨らみ始めると、我が家では「そろそろかな」という言葉が飛び交い始める。
通りがかりのひとに、「月下美人ですか、今夜あたり咲きそうですね」なんて声をかけられ、両親は「そうですね」とにこにこする。
ご近所さんも、「もし咲いたらラインしてね」と声をかけていく。

そんな夜は、わくわくそわそわしながら、花が咲くのを待つ。
いつもは夕飯前に戸締まりをするところ、どうせ花を見に行くのだからと戸締まりは後回し。
「ちょっと見に行ってくるね」と交代で見物。
「咲き始めている」となれば、方々に連絡。
みんなで見学することもある(大体寒いのですぐ終わる)。

月下美人は香りが強い。
咲き始めるとかなり香る。
道行く人々もちらりと月下美人を見る。

とてもきれいな花だが、わたしはなんとなくおどろおどろしさも同時に感じる。
きっと夜ということもあるし、多肉植物ということもあるのかなと思う。
でも、美しいから仕方ない、と思う。

そんな月下美人だが、一つ難点がある。

それは、スマホではうまく撮れないことだ。

どうしても夜の暗い中撮るので、あまりきれいに映らない。
おどろおどろしさがかなり全面に出る。
(この記事の写真が唯一きれいに撮れた写真。限界。)
このあたりに、自然らしさを感じる。


翌朝、ご近所さん方から、「昨日咲いてたね」、「次はいつ咲くかな」、「こっちの蕾も咲きそうだね」、なんて言われて盛り上がる。

そう、話にも「花が咲く」のだ。
(なんちって)


次のお題は、「おくりもの」。

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