香取 岳彦/ベジLIFE!!
子供が憧れる職業にするために…畑を交流の場として活用へ
■プロフィール
サラリーマン家庭に生まれ、筑波大学卒業後は商社に入社。iPhoneの部材を製造する海外工場との取引などを経験した7年後に退職。
野菜農家だった祖父母の農地を引き継いで、先祖代々の土地を守りたいと就農を決意。
商社を退職した2015年、千葉県柏市の農家で1年間の修行を経たのち、2016年2月に種をまき、4月から販売開始。
首都圏に近いロケーションを活かして、大学生や農業高校の生徒などが農業体験に訪れるほか、近隣の小学生が授業の一環として芋掘り体験などを行う。
■農業を職業にした理由
学生時代から人生計画を7年ごとに考える習慣があり、就職したら7年後には起業したいという思いで商社に就職。
野菜農家だった祖父母が農業をやめようとしているのを見て、先祖代々の農地を守りたいと就農を決意するも、サラリーマンの両親をはじめ、祖父母ですら「農家は稼げない。労働時間も長く、子供がいるのに孫にはやらせたくない」と猛反対。
家族を支えてくれた仕事が、そんなふうにとらえられていることに疑問を感じ、それならば自分が「農業を憧れの職業にする」と目標を掲げて、近隣農家で修行したのち、2016年に独立。
最初の2年間は教員の妻が家計を支えながら、知人を中心に野菜セットを食べてもらって、その感想を野菜セットの商品開発に活かすことによって、じわじわとファンを獲得。東京都心からのアクセスの良さを活かして、農業体験事業も展開中。
■農業の魅力とは
畑は野菜を栽培するだけでなく、多くの人に農業の魅力を知ってもらう場所です。都心からのアクセスが良く、消費者との距離が近い都市型農業のメリットを活かして、農業体験を受け入れています。
畑では初めて出会う人同士でも、世代を超えていつの間にか仲良くなれます。また住宅街に畑があるので、登下校中の小学生や近隣住民が農業を身近に感じることができます。
僕は4人の子供を育てていますが、サラリーマンより一緒に過ごす時間が長いので、子供たちは「農業の仕事」をお父さんの背中を見て理解するようになります。
虫食いなどが原因で販売できない野菜でも、自分で収穫することで、「食べものを捨てるのはもったいない」と学び、好き嫌いがなくなります。
子供たちは最近、そういった野菜を自主的に玄関の前に並べてお小遣いを稼いでいますよ(笑)。就農当初は稼げる農家を目指していたこともありますが、今はお金に縛られず、農業によって人生を豊かにしたいと考えています。
■今後の展望
都市型農業は生産者と消費者の距離が近く、地産地消ができるのが特徴です。一方で、地方のようにまとまった農地は持てないので、点在する畑と畑の間を車で移動しなければならないデメリットもあります。
農地を大きくすれば収益は増えますが、私の畑は人が交流できる場を目指しているので、農業体験や学習の場としての活用を推し進めていきたいと考えています。
元商社マンの経験を活かして、例えば企業の研修の場として畑で青空セミナーを開催することで、会社では話しにくいことを自由に話し合ったり、ストレスから解放されて心身ともにリフレッシュできる効果も期待されます。
最近、畑を訪れるお客さまのために200万円のクラウドファンディングを募って、トイレも設置しました。農業体験と野菜栽培を経営のふたつの柱にしていきたいと考えています。
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