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川﨑 亮太/HATAKEYA

法人名/農園名:HATAKEYA
農園所在地:三重県いなべ市
就農年数:4年
生産品目:キャベツ、ブロッコリー、ニンジン、里芋、きゅうり、ニンニク、枝豆、さつまいもなどを中心に、年間20品目
HP:https://infohatakeya.wixsite.com/hatakeya/home

no90

アフリカやNZでの生活で、自然と共生する豊かさに目覚める!

■プロフィール

 順天堂大学スポーツ健康科学部を卒業後、青年海外協力隊に参加してアフリカ・エチオピアで2年、体育教師として活動。次に訪れたニュージーランドでの農場体験を通じて、生活と農業が結びついた生き方に憧れるようになる。

 25歳で帰国後は、社会経験を積むため香川県の手袋メーカー企業に就職。働いていた3年間が過ぎても農業への情熱が冷めなかったことから、全国各地の農家15軒を訪問し、その結果、アグリイノベーション大学校の講師も務める神奈川県の農家に弟子入りすることに…。

 研修中には、同じように青年海外協力隊で、アフリカ・ウガンダで野菜栽培指導を行った経験を持つ妻と出会う。3年にわたって有機農法を学んだのち、有機農法がまだ普及していない新天地を求めて、2018年3月に三重県いなべ市に移住。

 親しくなった若手農家のサポートもあって移住後1カ月で90アールの農地を借り受け、その後も面積を拡大する。静岡大学農学部出身で、元生物教師の妻と二人三脚で、科学的根拠に基づいた自然への負荷が少ない農業を目指す。

 2020年以降は、屋号「HATAKEYA」として、いなべ市民大学や三重県農業経営塾、四日市市熟年大学、長崎県立農業大学校、兵庫県丹波市立農の学校などで講演を重ねる。

■農業を職業にした理由

 学生時代は体育教師になることを目指していたが、先輩から海外で働く動画を見せられた影響で、青年海外協力隊に参加し、エチオピアで体育教師として2年間活動。

 次に向かったニュージーランドでは、一般家庭でも自分たちで農作物の生産から大工仕事までこなす豊かな生活に触れたことで、「生きる力にあふれる人たち」に憧れを感じるようになる。

 帰国後は、香川県でサラリーマンを続けながら、全国各地の農家を訪れて自分が目指す農業のあり方を模索した結果、神奈川県の農家に研修生として入り、3年にわたって有機農法を学ぶ。

 いざ就農にあたって、「商業圏が近い」「畑作に適した土壌」「田舎」の3条件を求めて三重県いなべ市に移住する。

 最初の年は先輩農家に経営の甘さを指摘されて一心発起し、各地の先輩農家を巡り、ひたすら学びを深めた。2年目以降はパート人材を雇用したうえ、需要の高い品目に絞り、ロット単位で出荷するなど省力化を徹底。

 さらに、秀品率を上げるための営農管理を進めた結果、新規有機農業者の壁と言われる売上1,000万円を4年目で達成した。

■農業の魅力とは

 農業は「超ムズカシイ」ものですが、知れば知るほど知的好奇心が刺激され、自然の仕組みを紐解く楽しさを感じます。

 妻が農学部卒で、生物教師だったこともあり、植物の生態については細胞レベルで話し合うことも日常です。2人で科学的知識を総動員させて完璧だと思っていても、想定通りにいかないことも少なくありません。

 微生物や太陽や雨風などといったコントロールできない要因がありますし、今年成功しても、来年も同じ結果とは限りません。

 その悔しさをバネにして実験と観察を繰り返しながら原因を突き詰めることで、また新たな課題(世界)に出会えるのが何よりも面白いのです。

 また就農したことで、エチオピアや昔の日本人がおくっていた一見すると不便な暮らしが、自然と共生するための理にかなった生活だと気づけました。畑を通じて、世界の見方が変わっていくのを楽しんでいます。

■今後の展望

 神奈川県の研修先では、有機農業の主流である少量多品目栽培を教えられましたが、私は1つ1つの植物の生態を見極めるために、品目数を絞るスタイルを選びました。

 背景には、複数の農家を見学した時、単一作物を専門にする慣行農家の知識量に圧倒されたからです。おかげで品目ごとの品質が向上し、京都の三つ星料亭で里芋を使ってもらえるほど高い評価をいただけています。

 それでも、就農して最初の年は、年間売上が300万円にも届かなかったことから、先輩から「お前が倒れたらどうする? 取引先にも迷惑をかけるんだから、経営を見直すべきだ」と叱咤されました。

 この経験がそれまでの経営を見直すきっかけになりました。それからは、市場で需要の高い作物は何か?と見極めるようになったり、秀品率を上げる方法をそれまで以上に追求するようになりました。

 この先3年間は、10アールあたりの収穫量を現在の90万円から130万円に上げることを目指します。規模拡大で収益を上げるばかりを目指すのではなく、自然との暮らしも大切にしたいからです。

 就農4年目で年間売上1,000万円を達成しましたが、2024年には2,000万円、2026年には2,500万円を目指します。ここまで成長できれば、就農前に見学させていただいた先輩農家にも胸を張ることができるでしょう。研修生も入れる予定です。僕の後に続く若い世代に向けて「農業って面白い生き方なんだよ」と選択肢を示していきたいのです。

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