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安東 浩太郎/A-noker

法人名/農園名:A-noker(ええのうかー)株式会社
農園所在地:佐賀県藤津郡太良町
就農年数:9年
生産品目:「森のアスパラ」というブランドのグリーンアスパラガス
HP:https://morinoasupara.com/

no16

教師の資格を活かし、農業を通じて若者を育てることにも熱心

■プロフィール

 福岡大学スポーツ科学部を卒業後、大阪の不動産会社に入社し、8年間にわたる会社員生活をおくる。30歳の結婚を機に、当時の妻の実家がある佐賀県・太良(たら)町を訪れて、移住を考えるようになる。
 
 「新・農業人フェア」への参加がきっかけで、吉野ヶ里にある農業法人の誘いを受けて就職。60町(約60ha)の田畑で、キャベツや米・麦の栽培を担当しながら農業経営について学ぶ。

 3年勤めた末、太良町に移住。農協の契約社員として働きながら、地元のコミュニティに溶け込む。当時の副町長からの紹介で担い手がいないミカン山を借り受け、補助金を利用して開墾。

 ミカンではなく、アスパラガスを生産することを決めたのは、例年2〜10月まで安定栽培できて値崩れしにくいうえ、佐賀県で栽培方法が確立しているという理由から。

 当初は農協出荷を行っていたが、3年目以降、肥料や土作りにこだわるようになった結果、首都圏の飲食店などから注文が殺到する「森のアスパラ」ブランドへ成長。

 2018年に法人化した後は、環境制御技術を取り入れたハウスを新設。コロナ禍では、飲食店の取引がゼロになるも、通販事業に力を入れる。2018年佐賀県農業賞「若い経営者の部 最優秀賞」、さがラボ チャレンジカップ優秀賞受賞。2021年「料理天国100選」優秀賞受賞。

■農業を職業にした理由

 結婚を機に、当時の妻の実家がある佐賀県・太良町を訪れた際に、海と山の幸や、棚田で作られた米の美味しさに衝撃を受けるとともに、満天の星が空から降ってくるような自然に感動し、「ここに住みたい!」と決意する。

 不動産会社で働きながら、移住方法を考えていた矢先、佐賀県・吉野ヶ里の農業法人「石動農産」から誘いを受けて就職。キャベツや米、麦の栽培を担当しながら、農業経営について学ぶ。

 2年間勤めた末に太良町に移住したが、知り合いもおらず、農業の実績が無かったため農地取得に苦労する。そこで、農協に契約社員として就職して、人材不足の農家向けのヘルパーとして働くうちに、徐々に地元の信頼を獲得した結果、かつてミカン畑だった山を紹介される。

 佐賀県は、アスパラガスの作付面積が全国9位なのに、生産量は2位と高いことから、小規模な農地でも、収穫量を増やす技術があるはずだと考えて、栽培品目を決定。

 就農3年目にして肥料をカニ殻や牡蠣殻などミネラル成分が多く、旨味を引き出す栽培に切り替えて、「森のアスパラ」ブランドを確立させる。

■農業の魅力とは

 陸上競技をやっていた大学時代、どの種目なら1番になれるか熟考した末に競技人口の少ない三段跳びを選びました。栽培作物を決める時にも、将来、若いスタッフを受け入れることを前提に、「初期投資の少なさ」や、「大型農機が要らず」、「ハウスの光熱費もかからない」、「市場価格の安定性」などを踏まえてアスパラガスを選びました。

 就農2年目からは味を追求しようと、9つのハウスのそれぞれで牡蠣殻やカニ殻など異なる有機肥料を使って、どこが美味しく育つか研究を重ね、3年目にしてようやく満足できるアスパラガスの完成に至りました。

 「森のアスパラ」と名づけたのは、ミカン山の森を切り開いて作ったから、そのエピソードを反映させたかったのです。

 目論見が上手くいって、ブランディングが成功したことで都市部の高級量販店や飲食店など富裕層向けに販路を広げることができました。

 2018年に法人化を果たしたことで、社員を雇用して、ハウスも新設したのですが、コロナ禍になると飲食店の取引先はゼロとなりました。経営を立て直すために、現在は僕も生産現場に立っています。

 もともと体育教師の免許を持っていて、人を教え育てることが大好きなので、現在は就農希望者や「おてつたび」の参加者に収穫を手伝ってもらいながら、少しでも多くの人たちに農業に触れて、魅力を知ってもらうことに力を入れています。

■今後の展望

 コロナ禍が始まる直前に、35アールのハウスを建てたばかりでしたから、感染拡大で飲食店が休業を余儀なくされて、取引先を失った影響は大きかったですね。

 法人化してからは、自動収穫ロボットの実証実験農場に参加したり、栽培管理にAIを導入する研究に参加したり、いろいろなプロジェクトに挑戦しました。

 実験に参加する農家が集まらないことがネックではありますが、経営を立て直しながらも、新しいことにはこれからも挑戦したいと思っています。
 
 例えば、佐賀県内を流れるクリーク(小川)の清掃時に出る水草はミネラル成分が豊富なので、これを肥料化して循環型農業を目指したり、自分が就農時に苦労したからこそ、太良町で独立就農を志す若者を受け入れ、地域活性化に繋げたいと思っています。

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