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竹本 彰吾/たけもと農場

法人名/農園名:有限会社たけもと農場
農園所在地:石川県能美市
就農年数:18年
生産品目:コシヒカリ(有機JAS認定、特別栽培米、無農薬、一般栽培米)、ミルキークイーン、ひとめぼれ、国産イタリア米カルナローリ 、国産スペイン米、加工品(リゾットキット、グラノーラ)
HP:https://okomelove.com/

no.17

「改善の余地はいくらでも…」伸び代を探すのが農業の醍醐味

■プロフィール

 「米作日本一技術者賞」の祖父をもつ、石川県加賀地方の米農家の10代目。姉が2人いる末っ子長男として育てられ、幼い頃から家業を継ぐことを意識し、高校3年生で就農を決意。

 鳥取大学地域学部に在学中、父から「事業継承10年計画」を示され、卒業後は稲作のかたわら、ネット販売を開始。

 コシヒカリやミルキークイーンのほか、飲食店の依頼を受けて、国産イタリア米や国産スペイン米にも挑戦。全国農業青年クラブ連絡協議会(4Hクラブ)の歴代会長のほか、アグリファンド石川代表を務める。

 また農機具メーカーに協力して次世代田植え機の開発や、トヨタ生産方式を取り入れて米作の”カイゼン"も進める。2020年からは農業系ラジオ『青いTシャツ24時』を音声配信。

■農業を職業にした理由

 高校3年生のある日、父親から呼び出され、「農業は儲からないと言われているが、貰っとるものは貰っとる」と札束を積み上げながら、「就職先を考える時は、給料や休日ばかりに気を取られるが、仕事とはそういうものではない」と諭されたことがきっかけとなり、その場で就農を決意。

 さらに、農場経営は、たくさんの顧客や地主、資材業者や地域社会に支えられて成り立っていることを認識するようになったという。

 また、大学在学中に中央農業研究センターの梅本雅氏より勧められて、卒業したら10年後に経営権を父から引き継ぐ計画を作成したことによって、精神的にも時間的にも事業承継への準備が整った。

■農業の魅力とは

 以前は農協や集荷業者向けに米を生産・出荷していましたが、就農直後から当時としては珍しかったネット販売に挑戦して、直販に力を入れています。

 就農4年目には金沢市内の伊レストランのシェフから、「リゾットを作るためにイタリア米を生産できないか?」と相談を受け、玄米を取り寄せるところから研究を始め、3年かけて軌道にのせました。

 その後、スペイン米も始めましたが、経営者として自分のカラーを出すことにつながったと思います。

 イタリア米を使ったリゾットキットも開発していますが、担当したのはインターンとして研修していた大学生です。彼女は食品加工を研究していましたが、農作業の楽しさに目覚めて、今では社員として働いています。

 農業大学の卒業生であっても、就職先に農業が選ばれなくなっています。しかし農業は、自然と共に作物の成長を間近に感じられる仕事です。

 若者たちがやりたいことを実現する場所として、たけもと農場で学び、巣立っていくような農場になるために、人材育成の仕組みを整えていきたいと思っています。

■今後の展望

 現在の農地50ヘクタールは、家族経営できる最小限の面積だと思っていて、僕自身には大規模経営体の自覚はありません。今後も規模を拡大させていきたいと考えてます。

 米作は国の政策で保護されてきた歴史が長いため、成熟した部分がある一方で、まだまだ伸び代の余地があります。

 例えば、お米を定期的に届けるサブスクリプションサービスによって、生産者は販売計画が立てやすくなり、消費者も買い忘れを防げます。これまで当然のように取り入れてきた方法は、唯一無二の最適解ではありません。

 例えば米農家は播種機や育苗機などを扱う際に、操作速度をフル回転した方が効率が良いと考えますが、田植えのスケジュールから逆算したら、そんなに速度を上げる必要がない場合もあります。スピードを落とすことで作業人員が減り、その分、別の仕事に振り分けたり、休みを取ることも可能になります。こういった小さな改善を積み重ねることで、農業経営はもっと楽しくなります。伸び代を発掘するのがやりがいにつながるのです。

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