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【メディア掲載】 新建築住宅特集2020年9月号「志摩の家」掲載

新建築住宅特集2020年9月号に3月に三重県志摩市に竣工した「志摩の家」が掲載されました。ひとつの目標でもあった雑誌に独立して初めて設計した住宅で掲載され、嬉しい限りです。前職の事務所も掲載されていてこれまた感慨深いです。

「これからの間取り・キッチン」という特集です。雑誌では500文字という制約があり、書ききれなかったことや思いについて書いています。

独立してから「住宅」「商業」「公共」という建築の大きな三つの領域に可能な限り関わりたいと思っていて、それらの間や重なる部分に興味があります。そんなこともあり意識的に毎回違った用途にチャレンジしたいと思い活動しています。例えば、商業施設のような公共施設、公共施設のような住宅、住宅のような店舗といったように本来の用途はもちろん全うしながらも領域を横断するようなありかたからあたらしい建築を考えたり、異なる領域で得た知識や技術を別の用途へ転換することでその分野での常識を突破していくようなことにもつながると思っています。

今回の志摩の家はその中で言うと「公共施設・商業施設のような場を持つ住宅」だと思います。住宅として必須の部分は半分以下という特殊な要望でした。残りはゲストのための場所であり、おおらかな間取りです。子ども室も2室用意していますが、まだお子さんは小さいので利用率は低く、ある意味では子どもも一定期間しか利用しないゲストのように捉えて設計していました。使用しない期間はゲストの宿泊スペースです。

また、キッチンが3箇所あるのも特徴で、メインのキッチン、お酒のためのキッチン、バーベキューで使うキッチンがあります。30名程度の来客があった際には3つのキッチンで連携をとりながら、活用されます。竣工後に実際にその人数でのバーベキューに招待されました。あいにくの雨だったので庭は使えずに行っていましたが、それでもみんなが不自由なく集まれていたので、天気のいい日で外も使いながらならもっとたくさんの方が集まれることも実感しました。

施主の勤め先である病院には大勢の研修生が訪れ、志摩で数週間を過ごします。その際に施主が志摩の観光地や地元の面白い場所を案内し、その過程での終着点としての家をつくりたいというのが主たる要望でした。そして、志摩を好きになってもらいたい。そのため食事やお酒をふるまう場が求められ、さらに15名程度が泊まれる場所も欲しいということでした。そういった要望から2階は大勢が寝られる場所としています。

ここまで用途や施主の思いについてが中心でしたが、空間についても少しだけ。(詳しくはKJ2020年6月号に書いているのでそちらをご覧ください。)平面計画は初回のプレゼン時からほとんど変わっておらず、最初に家具が森の中にばらまかれたような場所のイメージがあり、そこで過ごすための屋根を架けるということからスタートしています。大勢が集まる場としての空間の大きさ、リビング・応接室などの使われ方が広がるような造作家具、素材による空間の切り分けなど、スタディの中心として進めていました。構造未満、家具以上の造作家具から空間を構想し、構造にもなるような、そこから周囲の環境までも変えていけるような造作のあり方を目指しました。

少々長くなりましたが、少し大きめの本屋さんには置いてますので是非お手にとって、ご覧ください!

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