アイドルを撮りたい〜特典会の撮影技術論(1)序論
特典会の撮影技術論とは?
ライブアイドル、俗に言う地下アイドルではライブ後に特典会というアイドルと交流できる機会がある。ちょっと前には握手会と言われていた。そこでアイドルを撮影できる事がある。
スマホでちゃちゃっと撮ってもいいけど、カメラが趣味だからそれなりに撮りたい。できれば作品として昇華したい。
ところが通常の撮影と違って特典会では制限が多数ある。思うイメージがあっても環境がそれを許さな事が常だ。その中で思い通りの写真を撮るにはどうすればいいのか?
その為の方法論、技術論を探りに私なりまとめてみた。
なぜ人はアイドルを撮りたがるのか
アイドルが撮りたい!カメラとアイドルヲタクをはじめて十余年。最近はライブ後の特典会でデジカメを構えてアイドルを撮るのが楽しみだ。
以前はライブ行くのに荷物になるからとカメラを持って行かなかったし、特典会では1ショットOKでも2ショットを撮っていた。たまに一眼レフでアイドルを撮っている人を見かけたど、ふ〜んそんな人もいるんだ〜、ぐらいに思っていた。なにせポートレート撮影で野外や明るいスタジオで時間をかけて作品を作っていたので、薄暗いライブハウスでの一発勝負の撮影に魅力を感じなかった。
この心境の変化にはコロナ禍の影響が大きい。
コロナ禍の影響はアイドルシーンに大きく影を落とした。コロナ発生後に解散、休止したアイドルグループは数しれず。中堅どころは焼け野原な状況で、今残っているアイドルも相当苦しい筈だ。この状況下でも続ける姿勢には尊敬の念すら覚える。
ライブシーンも変わった。換気、接触制限、人数制限、声出し禁止。執筆時には人数制限は解除されたが、遠のいた客足は完全には戻っていない。
特典会も変わった。アイドルとヲタの間にはビニールシートが置かれ、ビニールシート越しに会話。当然握手は無くなり、レギュレーションから握手券が消えた。握手券は比較的安く設定してあり、DDや新規を呼び込みやすかった。そういえばチェキを一枚だけ撮って握手券でループするというのをよくやっていた。
さて握手ができないとなると、やることがない。チェキか写メを撮るしかない。チェキや写メでもアイドルと会話はできる。
しかし、しかしである。
ここで重要なことが判明する。
握手の無い会話はさして心が踊らないのだ。
いや、アイドルとの会話は楽しい。楽しいは楽しいのだが以前ほどドキドキやワクワクが無いのだ。
いかに握手という身体的接触が重要だったのか思い知らされた。
握手…握手がしたいんじゃあああ!
可愛い女の子の柔らかくて小さい手を触りたいんだああ!ちょっと冷たい手を握って他愛も無い会話をしてイチャイチャ感を味わいたいんじゃあ…。
と叫んだところで現実は変わらない。
まあ握手が無ければチェキ1枚撮ってさっさと帰ればいいのだ。似たような2ショット何枚も撮ったところでチェキアルバムの消費量が増えるだけだ。
しかしそうも行かない。皆がチェキ1枚だけで帰ってしまうとアイドルの収益が減るのだ。ただでさえ減った客足なのに単価まて減っては目も当てられない。稼げなければその先は解散。BAD END。
アイドルのモチベーションも重要だ。アイドルはチェキ列がはやく無くなると病む生き物なのだ。モチベーション、将来の展望が無ければすぐに引退してしまう。
これは困った。楽しい事にはお金を使うのは厭わないが、買い支えには抵抗がある。なんか下品だ。元気をもらいたいアイドルが精神的金銭的な負担になってしまう。これだけは避けたい。
などとチェキ列に並びながら悶々と考えていると、デジカメを持ったヲタがいるのに気づいた。デジカメでアイドルを撮っているのだ。
『スマホで撮るより綺麗に撮れるかあ・・・今度試してみよ』
なーんて気軽に考えていた。まあ一枚撮れば満足するだろうと。
しかし、いざ撮ってみるとこれが無性に楽しいのだ。楽しいどころじゃない。握手していた時のようなトキメキ。
アイドルは撮る私の為にポーズと表情を決めてくれる。
撮る瞬間アイドルと見つめ合う。
なにこの神イベント?
大好きな女の子の写真を撮る事の素晴らしさを改めて実感する。
そして世界でただ一枚、アイドルの高画質Rawファイルがカメラの中に入るのだ。これが興奮せずにいられるだろうか!アドレナリンが毛穴から沸騰する!
そして撮れば撮るほど次々と反省点が出てくる。いい写真を撮れたという手応えはあるが、まだまだ良い作品が撮れる筈だ。
究極の一枚が撮れるまでやめられない。
そして今週末もカメラをリュックに入れてアイドルのライブへ向かう。
この記事はHow toでも、であるべき論でもない。推しの究極の一枚を撮るべく悪戦苦闘するヲタクの記録である。アイドルを撮ることに興味があるけど踏み出せずにいるカメラマンがこの記事を読んで特典会に興味を持ってくれれば嬉しい。
続く
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