戦略的にスタートアップの「採用人数」を策定するためのTips
「もうそろそろ、行き当たりばったりの採用をやめにしたいんですよね。」
先日お客様よりこんな質問をいただきました。
行き当たりばったりの採用 = このブログでは、採用ニーズが発生してから採用活動に着手していることを指しています。つまり、人手が足りなくなってから急ピッチで採用活動にドライブをかけているため、急に来月までに●●ポジションで**名採用決定を出さなければならない、、、
そんな状態のことです。
今回のブログでは、
- なぜ行き当たりばったりの採用活動になるのか?
- よりスマートな採用戦略を策定するためには何を考えるべきなのか?
を、紐解いていきたいと思います✍️
1. なぜ行き当たりばったりの採用になるのか?
まずは、どんな時に行き当たりばったりの採用になってしまうのか?を整理していきます。
1-1. 経営戦略の未策定
1つ目のパターンは「経営戦略が未策定である」時です。採用とは、経営活動の一環です。
↑の図のように、経営戦略があって事業戦略が決まりますし、事業戦略があって人事戦略が決まります。そして人事戦略があって採用戦略が決まります。そのため、経営戦略が未策定であれば、採用戦略も決まりません。
1-2. 予想以上の会社拡大
2つ目のパターンは「予想以上に会社が拡大した」時です。これは喜ばしいことなのですが、経営戦略を超えて会社が成長した時は、想像以上に人が足りなくなって採用をしなければならなくなりますよね。行き当たりばったりの採用活動になってしまう場合において、唯一ポジティブなパターンです。利益に余裕があるのであれば、少し余分に採用活動を進めることもおすすめです。
1-3. 退職
3つ目のパターンは「退職者がでた」時です。致し方ないことではありますが、今後の事業成長に向けて採用活動をしている手前、退職者が出てしまうとそのポジションの穴埋めをしなければなりません。1-2とは対照的にネガティブなパターンです。
2. 戦略的に採用活動を進めるために
早速、行き当たりばったりの採用活動をより戦略的に進めるためには何を考えるべきなのかお伝えいたします。
まず、考えるべきは「離職率」です。
ある程度人数が増えてきて、これから受注を増やしていこうとするタイミングで退職者が出てしまうのは当然痛手です。(特に少数精鋭のスタートアップは大変ですよね)
ただし、従業員数が10名以下の企業様であれば、離職率は考慮しすぎなくても良いのではとも考えています。
そして「離職率」に売上を掛け合わせて採用人数を考えます。下記の図にてご説明いたします。
2-1. 売上が伸びていて、離職がない
この場合は、純粋に売上が伸びている分だけ採用すれば良いパターンです。
2-2. 売上が一定で、離職がある
この場合は、離職率を加味して採用活動をすれば良いパターンです。ただ、創業間もないタイミングで、離職してしまった方と同様のスキルをお持ちの方を再度採用するのは非常に労力がかかります。そのためか特にスタートアップですと、既存のメンバーが兼任していることが多いです。売上が伸びてくるまでは採用活動にそこまで力を入れなくても良いかもしれませんね。
2-3. 売上が伸びていて、離職がある
この場合は、売上増額分と離職率を考慮して採用活動に注力しなければならないパターンです。ある程度売り上げが安定したスタートアップに当てはまるのではないでしょうか。
シリーズA以上の企業様の場合も、ある程度の離職が想定できていれば、前もって採用活動に力を入れておくことが可能なはずです。
※ もちろん離職を減らす動きも重要ですが、今回は割愛します。
ここで重要なことは、離職率を算出しておくことです。
離職はどうしても出てしまいますが、これはどの企業様も同じです。
例えば、離職率を10%で、あなたの事業部が10名だとすると、1名は退職者が出ます。一方で売上が今の150%増を計画していて、あなたの事業部が売上と比例した人数が必要である場合、5名 ( 売上増加分 ) +1名 ( 離職者 補填分 ) で 合計6名の採用が必要となります。ただ、この説明は当たり前ですよね。
ここで一つ重要なことがあります。それは貴社の利益がどの程度出ているかです。つまり、6名の採用人数は「最低採用人数」なのです。もしかしたら売上が150%以上成長するかもしれません。これがポジティブなギャップです。
話を整理すると、売上増加分の5名 + 1名 ( 余剰分 ) 、離職補填分の1名 + 1名 ( もう1名退職をした分 ) にすると、+2名の採用計画が想定されます。そのため、合計8名の採用になるのです。
この章では、離職について言及しました。ただ、より戦略的に採用活動を進めるために考えるべきことがあります。
それが、企業の「ビジネスモデル」です。
3. ビジネスモデルごとの採用戦略
3-1. 成果報酬型ビジネス
成果報酬のビジネスは「人材紹介」「広告」「マーケティング」等が該当します。
成果報酬型ビジネスの採用人数決定方法は「 採用人数 + 離職数 」です。
人材紹介の場合は、紹介をした方が入社をした場合に年収の●●%が、その人材紹介会社に売上として計上されます。成果報酬ですので、売り上げを見込んいでた金額が解約になるケースは基本的にありません。
つまり、社員を増やせば売り上げを上げることが可能です。経営戦略を立てた上で退職率を加味し、採用人数を決定すれば良いのです。
3-2.ソリューションビジネス
受託型のビジネスが該当します。(例えば、コンサル / SI / Web制作会社など)
ソリューションビジネスの採用人数決定方法は「 受注数 - 解約数 」です。
事業を成長させるために「受注」を増やす必要がありますし、その一方で残念ながら解約も発生してしまいます。どれくらいの数の受注と解約数が見込まれるのかを考慮した上で採用する必要があります。
ただ、「社数」だけの議論では足りません。1社あたりの工数は平等ではないため、1社に対する工数(=重さというとわかりやすいでしょうか)を考慮する必要があります。
では、工数を定量で表す方法をお伝えします。それが「ベロシティ」です。
ベロシティの意味と使い方については、以下のブログをご確認ください。
各社の工数を定量的に表すことで、今いる社員の中であとどのくらいの受注を受けられるのか?または採用に踏み切らなければならないのかを考えることができます。
3-3. ストック(積み上げ式)ビジネス
いわゆるSaaSのことです。
ストックビジネスの採用人数決定方法は「 解約率 」です。
ストックビジネスは、ある程度売上の見込みが可能です。(契約期間が決まっていると思うので、先々の売上がわかっているので明日から急に売上がなくなるということは限りなく少ないはずです。)
そのため、自社の売上に合わせて採用に注力するタイミングを決めれば良いという比較的シンプルな構造になるはずです。
ちなみに、SaaS企業の採用活動の順番については「ALL STAR SAAS FUND」の前田さんが非常にわかりやすいポッドキャストを公開されています!(非常に勉強になりました、ありがとうございます!)
最後に
今回は、スタートアップがビジネスサイドを採用するタイミングで行き当たりばったりの採用活動にならないようにするためのTipsを場合分けしてブログにまとめました。
最後に1つ。
まだ創業間も無く、PMFを迎えていない企業様であれば「人数が必要になってから採用する」ことも致し方ないと個人的には考えています。
ブログに記載した通り、「離職率」と「売上」が重要になりますが、PSFのフェーズの企業様にとってまだ「離職率」も「売上」も見えないのが当然だからです。
企業の成長に合わせ、採用活動もより戦略的に進めていけることがbestだと思います!
それでは、最後までご覧いただきましてありがとうございました!
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