まったり雨宿り
屋根の下には、親友と僕。雷鳴とともに空は一気に暗くなり、大粒の雨が降ってきた。折りたたみ傘すら持っていなかった僕らだが、雨の降り始めは気にせず歩き続けていた。この態度がまずかったのだろう。雷様が怒って、嘘みたいに極地的な豪雨が僕らを襲ってきたのだ。
「雨宿りなんて久しぶりだな」。目線を空に向けたまま親友が語る。「そうだね。小学生以来じゃないかな」。僕も同じ空を眺める。懐かしい空気が僕らを包み込む。雨は良い。雨粒には忘れてしまった思い出が含まれているのだろうか。親友と生まれ育った僕らの街の匂いがする。
「リトマスシケンシ」ふいに親友が僕の方を向いて言った。「シーラカンス」僕が返す。「スシ」。「シシマイ」。「イシ」。また『シ』だ。親友のしりとりの作戦が何も変わっておらず、僕が笑うと親友も笑った。
大人になると、遊ぶのにもお金がかかる。そんな風に思っていたけど、親友との遊びには必要なかった。
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