【詩】夏の始まり、春の終わり

無知と無関心と
とびきりの無力でもって
私はあらゆる罪に加担している
いつも手遅れになるのを待っていた
そのほうが楽だから

本物の魔法陣はあくまでもさりげなく
私たちを包囲している
誰も見ていない空にだけ架かる白黒の虹
綺麗事しか言わないと決めた君が
削り出す命は南極の氷ぜんぶよりも重い

今ならまだ
好きな場所に地平線を引けるのだそうだ
どうか君の喉元を通っていくものが
美しく柔らかで
澄みきったものばかりでありますように

グラスの氷の崩れる音が
告げる夏の始まり
それは思っていたよりもずっと早く
訪れた春の終わり


読んでくださりありがとうございます。 サポートしていただいた分は、作品や文章の制作(材料・資料代など)に使わせていただきます。 よろしくお願いいたします。