【詩】夏の傷痕

何も欲しくない
どこにも行きたくない
食べ物もいらない
眠くない
ただ君のことを考えている

会いたい訳じゃない
話したいこともない
して欲しいことはほとんどない
ただ君のことを考えている

果実が赤く色づくように
子どもが大人になるように
何の断りもなく時間は過ぎる
私は君の剥製を作る

赤い実が腐って
大人たちが死んで
ただ君のことを考えていた日々だけが
火傷の跡みたいに残るんだろう


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