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#ショートショートnote杯
失恋焼きそば #29
失恋したら焼きそばを食べる。
そんな習慣がY市民の中で、
じわりじわりと広がりを見せている。
はるか昔、顔のタイプを
ソース顔、しょうゆ顔などと
調味料に例えるというようなことが
流行ったという。
(カランコロンカラン)
今日も失恋焼きそばを提供しているお店に
うつむきながら入ってくる人がいた。
「焼きそば…ください」
「お味は、ソース、しょうゆ、塩など
他にも色々あるんですが、どれ
ドッキリ屋 #27
「ドッキリ屋」という職業がある。
ドッキリといえば、テレビのバラエティ番組企画のひとつ。
仕掛け人がターゲットとなる人物にイタズラを騙し反応を楽しむと言うものだ。
それが今、世間一般にも
オーダーメイド・ドッキリ企画サービスとして
「見て楽しむドッキリ」から「仕掛けて楽しむドッキリ」へと
利用の広がりを見せている。
了
最後のロボット #26
多種多様な生命体が姿を消してから数千年、
かつて人間から地球と呼ばれていた惑星では
ヒューマノイドが君臨していた。
しかしそんなヒューマノイドたちも
新たなる生命体の出現により
種の存続の危機を迎えていた。
その新・生命体は、突如として現れ
姿形も捉えられないほどの速さで
次々とヒューマノイドを襲い続け
ついには、最後1体のみとなった。
残されたヒューマノイドは、
何とかして危機から逃れよう
バナナネコ #24
頭からバナナが生えているネコ。
そのミスマッチなビジュアルと愛くるしさで
今、注目を浴びている動物だ。
頭に生えているバナナはネコ自身は食べない
飼い主や懐いた人だけが味わうことのできる代物だ。
間違っても無理矢理取って食べてはいけない。
食べると全身が痺れはじめ、次第に呼吸困難に陥り
死に至ってしまうのだ。
そのことを食いしん坊だった友人が教えてくれた。
了
いちおくえんの道 #22
1億円を使って作られた道というわけではなく、
1億円分の1円を敷きつめて作られた道。
ダジャレ好きの町長の発案で
町のPRのため町費と交付金を使い作られた。
しかし、財政状況が悪くなり
資金を補填するため1億円の道を回収するハメになった。
了
バーチャル社長 #21
バーチャル社長とは、ネット上のビッグデータを活用することで
社員、ステークホルダーとのコミュニケーションや経営を行う
人工知能が搭載された社長のこと。
以前の社長は、常に眉間にシワを寄せながら仕事をしていた。
そのため話しかけづらいオーラが醸し出され、
社員との距離感を遠くさせていた。
それが、コロナ禍も相まって
じわりじわりと業績にも影響が出てきていた。
そこで社長は、
緊急事態宣言下にでき
スベりアレルギー #20
スベりアレルギーとは、
ギャグや冗談が全くウケないと眼の痒みや鼻水くしゃみといった
アレルギー反応が引き起こされる状態のこと。
無論、ウケつづければ症状は出ないが、
緊張感のある場面や大舞台でスベると
最悪、取り返しのつかないことになる。
これは誰にでも発症するが、そもそも普通の人はウケを狙う機会が少ないので
大半は発症したことに気づかずに日常生活を過ごしている。
(出囃子)
「はい、どう
アニマルカースト #15
人間社会の学校生活においてスクールカーストと呼ばれる
人気の度合いを表す序列が存在するように
ここ動物園内にもアニマルカーストが存在する。
ニホンザルたちは、パンダの人気っぷりを恨めしく思っていた。
「なんだい、特別、愛嬌があるわけでもないってのに、
パンダのところに連日人間たちが詰めかけてやがるんだい。
おかげで俺たちのエリアは閑古鳥が鳴いているよ。」
ニホンザルたちは、この状況を覆すべ