『パラサイト 半地下の家族』レビュー

 今回はポン•ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』(2019)のレビュー。
 韓国の映画を見たのは今回が初めてだった。最初から最後まで衝撃な映画で、かなり深く共感してしまった。半地下に住む貧困な家族が、とても緻密で巧みな計画を立てて、裕福な家で働き、ある意味住み着くのだが、その家の地下には自分たちと同じ境遇の家族が住んでいた。後で調べたのだが、韓国は朝鮮戦争の影響で裕福な家には一時的に避難する核シェルターが置いてあることが多い。「半地下」というのも、住居不足によりシェルターに住むのを合法化したものだ。現実にもお金のない若者を中心に暮らす人がいる。映画の中では、彼らの生活は悲惨で命と隣り合わせである(洪水のシーン)。
 映画で印象的った場面は、避難所で父が息子に「計画」について語るシーンだ。一番いい計画は、無計画だ。誰も計画通りにいかない。計画を立てなければ失敗はない、と語るのである。これをフラグにして、あの悲惨な事件が起こるのだが、その後、離れ離れになった父親と息子の「手紙」のやり取りは感動する。最初から最後まで緊張が解けない映画だった。

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