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[研究室運営] 卒論・修論はチェックシートで目標設定と客観的な相互チェック

卒業論文や修士論文で書きまとめる研究内容については、約半年かけてアイディアやモチベーションについて徹底的に議論したり、プロトタイプシステムを実装したりプレ実験を実施してあたりをつけたり、合同研究会などで発表して意見をもらったり、実験結果について議論したりすることで固めていくわけですが、論文を書くこと自体は、ひたすら自分で整理し、向き合い取り組んでいく必要があるので、なかなか大変です。

また、卒論や修論は、何をどんな感じでどれだけ書けばよいかがわからないですし、一般に1~2年近くかけて取り組む長期戦のものとなるため、どういったことを事前にやっておかなければならないのかということもわかりづらく、直前になって慌てても間に合わないということになりかねません。

ここで教員一人が見る学生数が少ない研究室の場合は、常時進捗を管理し、手厚いサポートをすることもできるかもしれませんが、私の研究室の場合、教員1人なのに卒論+修論の数が、2018年度は4+11=15、2019年度は9+6=15、2020年度は8+3=11、2021年度は7+7=14の予定となるため、まぁそうしたきめ細やかなサポートは難しい状況です。

そんなこんなで、学生さん同士で相互にチェックしあえることが重要で、そのためにペアプレゼン合同研究会を実施したり、学生さんたちが学会発表で原稿を投稿するときにグループのメンバーでチェックし合うことで基礎力をつけたりなど色々工夫してはいますし、卒論や修論などに対する査読を行ったりもしています。ただ、査読は論文としてまとまっていないとできませんし、ペアプレゼンなども研究内容のチェックには効果があるものの、論文執筆においてはなかなか力になりません。また卒論や修論は長期的に取り組むものなので、クリアするべき目標が不明確だと迷子になってしまうという問題があります。

ということで、中村研では目標設定を明確化し、また相互チェックを容易化するため、卒論・修論のチェックシートを用意しています(関西大学の松下光範研究室で運用されていたチェックシートを改良して利用しています)。また、卒論や修論とともにそのチェックシートを他人に渡してチェックしてもらい、すべて○がつかなければ卒論や修論を提出できないとしています。

このチェックシートは1名からチェックしてもらうものと、2名からチェックしてもらうものがあり、まず修士論文について、1名からチェックをしてもらうのがこちら。

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2名以上(主に後輩が担当)にチェックしてもらうのがこちら(基本的なもので、2名の目を入れることで漏れを無くすようにしています)。

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こんな感じでチェックシートで、色々とチェックするポイントを示しており、「あなたの論文大丈夫?」と問いかけています。また修士論文では、引用文献数を40以上、英語の論文の引用数を26以上という数も示しています(卒論は引用が25以上、英語が10以上)。で、関連研究探しは特に時間がかかるものですので早めに増やしておくようにね!と指導しています。

引用する論文数について、最低何件以上と数を設定すると、みんな下限を狙いに行くのでは?と心配されますが、まぁ個人的には博士論文じゃないんだから目的化してもいいんじゃないかな?と思いますし、これだけの件数引用できていればそれなりに調べていると言えると思いますし、明確に数が示されているのでまずは数を増やすことに目が行き、最低限揃えたあとでまた色々出てきて追加することにもなったりしますし、あんまり問題ではないかなと思っています。実際、学生さんたちの修士論文をみると、その分野について関連する研究をいろいろ調べてくれてて、不勉強な私にとってはとても勉強になるものになっていますし、新しい学生さんが研究室に入ってきたときに読んでもらうのにとてもよいものになっています。

ちなみに、関連研究を沢山探すのは簡単ではありません。なので、みんなで協力して関連研究を探してあげる、他人の関連研究探しゼミをやったり、論文紹介ゼミは1件あたりの時間を短くして(5分発表+5分質疑)数を稼ぐことで関連研究に出会う機会を増やしています。

なお、私が所属していたところでは、ページ数も指定がありましたが、ページ数を指定すると冗長に書こうとしたり、無駄な図表が増えたり、1行しか無いページがあったりなど、あまりページ数は意味がなかったなと感じていたので、ページ数は条件に入れていません。

ということで、チェックシートを用意して、卒業論文や修士論文における目標設定を明確にし、また自身でも、また学生同士でもチェックしやすくしているというお話でした。

ちなみにこのチェックシート、いくつかの項目はチェックするのが難しいようで、まだまだ改良の余地はあるなと思っています。こうしたチェックシート、たぶん他の研究室などでも運用されていると思いますので、ぜひうちはこんな感じのを設定しているよとか教えて下さい!


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Satoshi Nakamura

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 教授。 中村聡史研究室 http://nkmr-lab.org/ 。 研究室のサイトを研究を発信する場所にするため、それ以外の話をこちらに書いてます。 もしよろしければ、研究室のサイトも御覧ください!