寫残録_128 Nikonのクラシカル3兄弟
Nikonの“Zf”が発売になったなかでのひと言
NikonフルサイズミラーレスのZf
発売日にZfが手元に届いた。
10年前、Dfを予約して届いたときを思い出し、感慨深い。
クラシカルなDf、Zfc、そしてZfを眺めているだけで楽しくなる。
Zf、Zfcについて、Nikonはヘリテージデザインと呼び、Dfは違う。
ヘリテージデザイン=Nikonの歴史や伝統を受け継いだZfcとZfが手元にある。
Dfはそれと比べ、ヘリテージデザインと呼ぶには少しだけ違和感がある。
そうであれば、この3兄弟を“クラシカル”と、いまはしておきたい。
2013年発売のDf ~Inspiration on Contact
“「精密機械の感触」と「操る愉しみ」を、あらためてその手に。”と、DfのコピーがHPにある。
Dfの「f」は“Fusion(融合)”で、当時Nikonは、これまで培ってきた精密機械の感触と、最新技術の融合と言っていた。コピーはFusionを具体的に言葉にしたものだと思う。
2013年に発売がされ、デジタル一眼レフで、今もなお人気があるDf。
ターゲットは、ハイアマチュアやプロの作品づくりに向けられていた。
Dfのデザインは、ペンタ部の“Nikon”ロゴも斜体ではなく、F3やFMで採用されていた革張り。
ダイヤル類は、アルミの削り出しで文字は彫刻され、色入れがされている。
シャッターはFM系、シャッターボタン周辺のダイヤルはF2のテイストを取り入れたとされ、全面のセルフタイマーランプは、F3と同じデザイン。
シンクロターミナルキャップは、昔のデザイン。
少しばかり、ずんぐりむっくりしているが、そこはDfの“味”として受け入れる。
センサーなど当時の旗艦機であるD4と同じで、1625万画素。
特筆すべきは、動画機能を搭載せず、スチルに特化したこと。
何より、1959年のNikon“F”の発売からFマウントの歴史がはじまり、Nikonが60年以上の間つくり続けたFマウントのレンズが、そのまま使えることだ。
※非Ai含めてほとんどのレンズが使用できる。私はすべてAi化したので、あまり関係はないが。
発売から10年以上使い続けているが、機能的にも問題なくノントラブル。
Nikonの堅牢性には、昔から安心感がある。
それだけでなく、シャッターフィールやミラーレスにはないシャッター音は、一眼レフで撮る楽しさを与えてくれている。
そのデザインも10年経過したいまも、古さを感じさせない。
実にいいカメラだ。
Zfc ~ミラーレスとニコンの伝統的なデザインの融合
Nikonのフィルムカメラで長く愛されてきたFM2にインスパイアされたデザインとして、Zfcは、ヘリテージデザインとして発売がされ、若い世代に受け入れられ、フィルム時代の世代にも人気のカメラとなった。
過去の遺産としてのデザイン、Nikonだからこそのデザイン。
Zfcの「f」は“Fusion(融合)”で、Dfと同じ。
「c」は“casual”で、Nikonがすべての人に使ってほしいという願いを込めたとしているが、まさにそれが叶ったカメラだと思う。
ターゲット層もDfと異なり、casualの名の通り、若者層がメイン。貼り革の色を変えられることや、フィルムカメラの人気も相まって若い世代に受け入れられたようだ。
機能面では、Z50をベースにつくられ、DX(APS-C)で2088万画素。
NikonのZシリーズでは初のバリアングルモニターを採用。
何よりも、軽くて小さいことで、気軽に持ち歩き出来ること。
私はシルバーボディ発売時には、購入をしていなかった。
しかし、ブラックが発売され、すぐに購入してしまった。
フィルム時代のブラックボディの特別感(当時シルバーより少し高かった)が、その気持ちのどこかに残っているのかと、感じた。
Zf ~愛しさを形に
NikonのZシリーズが発売されるなか、一番期待していたのが、Dfに継ぐフルサイズのクラシカルなカメラの存在だ。
まさに“Zf”を待っていた。
Zfc同様に、FM2にインスパイアされたヘリテージデザインとして、さらに真鍮製のダイヤル類などにもこだわったデザイン。
それもブラック。
Dfのときを思い起こし、性能面でも期待をしていたが、デザインもさることながら、その性能は期待以上であった。
画像処理エンジンは、旗艦機であるZ9やZ8と同様にEXPEED7が採用された。DfがD4のセンサーを採用したと同じ精神か。
Dfのとき以上なのは、ただ旗艦機と同じだけではなく、新機能として手ぶれ補正はフォーカスポイントVRを搭載し、最大8段。
さらに、ピクセルシフト撮影機能や、MFモードで被写体検出ができるあらたな機能を搭載した。
Nikonの“Zf”にかける意気込みすら感じる。
何よりもうれしいのが、切替レバーがついて、一瞬でモノクロ撮影を楽しめることだ。
そのモノクロのピクチャーコントロールに、「フラットモノクローム」と「ディープトーンモノクローム」が加わった。
モノクロに対するNikon提案であり、モノクロへの回帰として、そのこだわりがうれしい限りだ。
ターゲット層が30代と語っていたが、このカメラこそ幅広い層に受け入れられるのではないかと考える。
クラシカル3兄弟を楽しむ
Nikon Dfは、引き続きFマウントのfレンズをそのまま付けることができ、シャッター音に写欲をそそられながら、撮影を楽しむ。
Nikon Zfcは、出かけるときにカバンに忍ばせて撮影を楽しめる軽さと小ささの利点を活かす。
Nikon Zfは、最初は新たな機能を使いながら、モノクロを楽みたい。
ただ残念なのは純正のマウントアダプターFTZ&FTZⅡだ。
「新機能のMFモードで被写体検出を、Fマウントレンズで」と、思っても、折角のデザイン性あるZfが。。。
デザイン性のいい純正のマウントアダプターが出ることを願いつつ、COSINAのZマウントレンズか、同じヘリテージデザイン(SE)のZ40mmか28mmで撮影を楽しむつもりだ。
Zfも、Df同様に「10年を超えても見劣りしないカメラだ」と、届いたばかりだが思えるカメラなのは間違いない。
この3兄弟で、それぞれの個性を活かして楽しめることに、Nikonの方々に感謝したい。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?