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【400字小説】雷

ナミヘイという名前は、
平成生まれの時代遅れでも、
古めかしい。

命名は昭和生まれの化石みたいな
親だから、しょうがない。
明治生まれの祖父母は
とっくに亡くなって、諸行無常。

ナミヘイの人生の主人公はナミヘイだけれど、
それまで命を繋いで来た先祖がいて。
友だち、先生、親戚の人が
まわりで脇役に徹してくれているのも、
実感しなくてはならない。

人は一人では生きられないって、
最早、腐りかけた言葉。

恋人はいた。
「きみがいなくても生きていける」が
先方の捨てセリフで傷ついた。
安心でなければ旅には出られない。
恋人の影響で好きになった
くるり、聴けなくなった。

ナミヘイは怒ったりはしない。
ボルトのごとく走れたりもしない。
ごく普通の男。
ファッションセンスは独特で
「センスないね」という人が7割。
でも残りは熱烈にファンで、
個性的でいいなあって憧れられている。

オクラホマシティに行きたい。
でも飛行機が雷雲に突っ込んだら
怖いから行かない。

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