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【400字小説】力

『スターウォーズ』見たことがなくて、申し訳なさ子。
フォースってあの光る棒のこと?
タダオは丁寧にその質問に答える。
申し訳なさ子はタダオの紳士的なやさしさも好きだ。
学生の頃、「『スターウォーズ』、見たことないの?!」って
バカにされたのを今でも忘れられずにいる。
余計に『スターウォーズ』を見るのが怖くなった。
今でも思い出すとカフェインを過剰摂取した時のような
フワついた、気分の悪さを覚える。

かけ算は覚えていないから、
暗算ができない、申し訳なさ子。
でも、古文は得意で、難解な高校の時でさえ、
テストで98点を連発。
申し訳なさ子は、そのマイナス2点に凹む性格。

タダオが唯一、とんずらしなかった男。
めんどくさいと内心思ってはいるが、
タダオも申し訳なさ子が好きだから。
申し訳なさ子の自己評価の低さも、
『スターウォーズ』を知らないあまのじゃくなところも、
実は暴力団組員のタダオとの愛も、
ライトセーバーでさえ、ぶった斬れない。

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