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【400字小説】頭

難解なレディオヘッドが好きな19歳のマキコには、
まわりにそんな友だちはいなかった。
聴き始めたのは父親の影響で
『クリープ』に強烈な衝撃を。
中2の時だから早熟だったと言える。

父からCDを借りるのが照れ臭くて、
Spotifyが素晴らしいことを
家族にプレゼンして、加入にこぎつける。
それから全アルバムを視聴、まんまと泥沼に。
近くのTSUTAYAが潰れたから
サブスクにしておいて良かったな。

で、結局、父親とレディオヘッドの良さを
語り合うという結末。

「わたし、ベタだけど『KID A』が一番好き」
「決められないけど『OKコンピューター』が
最高傑作かな」

時は過ぎる、
18歳だった春に東京の大学へ
進学した入学式の帰りに
電車で「中2の時、『クリープ』に
強烈な衝撃を受けたんだよ」と
話してる大学生を見かけた。

「東京すげえ」って思ってタイプじゃなかったから、
気さくにカレに声を掛けた。
あの時、友だちにならなかったのを後悔している。

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