閃き💡劇場⑨

これは小さな少女の愛の物語。
『みなさん、もうすぐ母の日です。お母さんに日頃の感謝を込めて、何かプレゼントをしましょう』
ある日学校でそう言われたちーちゃんは、何をプレゼントするか悩んでいました。
そこで、お父さんに相談しました。
『ねー、ねーお父さん。母の日に何をプレゼントしたらお母さん喜んでくれる？？』
『そうだなぁ…』
お父さんはしばらく考えるとこう言いました。
『ちーちゃんが得意な物語を作ってプレゼントしたらどうかな？』
『物語？』
『そう、お母さんが幸せになる物語を書いたらいいよ』
『うーん…』
ちーちゃんはしばらく考えるとあることを閃きました。
『お父さん！こんなのどうだろう？？』
ちーちゃんはそのアイディアをお父さんに話すと、お父さんは顔をくしゃくしゃにしながら嬉しそうに言いました。
『それは素晴らしい、お父さんも協力するよ』

こうして母の日になりました。
『おかあさーん、これ書いてみたの』
『あら？何かしら？？』
『今日はこれを読んで休んでね』
『ありがとう』
スケッチブックを渡されたお母さんはそれを読み始めました。

昔々あるところに、ちーちゃんという女の子がおりました。
ちーちゃんはお母さんが大好きで、友達と遊んでる時以外はいつも一緒にいました。

ある時、お母さんはうっかり手を怪我してしまい、料理が作れなくなりました。
その様子を見ていたちーちゃんはお母さんの代わりに自分がお母さんの好きなカレーライスを作ろうとお料理をすることにしました。
でも作り方がわかりません。
困ったちーちゃんは森の魔女に相談をしました

話を聞いた魔女は、小さな子供でも簡単に作れるやり方をちーちゃんに教えました。
こうしてカレーライスが作れるようになったちーちゃんはお母さんのためにお母さんの大好物の海老が入ったシーフードカレーを作りました。
お母さんは泣いて喜び、喜びのあまり全部食べてしまいました。
そして怪我が治ったお母さんとちーちゃんは益々幸せに過ごしましたとさ、めでたしめでたし。

『ちーちゃんありがとう！凄く素敵な物語ね』
お母さんはそう言うとなんだかいい匂いがしてきました。
『これは…？もしかして』
嗅いだことのある匂いにお母さんは台所に向かうことにしました。
『あ、お母さん！ちょうどいいところに！』
『今呼ぼうと思ってたんだ』
ちーちゃんとお父さんはニコニコしながら言いました。
『これ…もしかして』
『じゃーん！お母さんが好きなシーフードカレーライスだよ！』
『中々上手くできてるだろ？ほとんどちーちゃんが作ったんだ』
『物語だけじゃなくて実際に作りたかったの』
『…ありがとう、お母さん嬉しい』
お母さんは目に涙を浮かべて言いました。
『さぁ、早く食べよう』
お母さんはお父さんに優しく促されながら食卓につきました。
『うん、美味しい、物語のカレーと一緒ね』お母さんは満面の笑顔で言いました。
そして、物語と同じように完食しました。
『ちーちゃんがこんなに色々できるようになれて幸せだわ』
食後お母さんはお父さんにそう言うと
『俺も最初聞いたときビックリしたんだよ、でも素晴らしいと思ったんだ。子供って本当に俺達の知らないところで、成長するんだなって思ったよ』
とお父さんは言いました。
『そうね、この気持ちだけで本当に幸せ。母の日ってこんな日なのね』
お母さんも嬉しそうに言いました。

こうして家族はいつまでも幸せに過ごしましたとさめでたしめでたし。