見出し画像

点滴の困りごと

 また若干日が空いた。
 11月30日に入院したが、めでたく12月17日に退院した。17泊18日の入院生活だった。
 戻ってみたらみたで、いろいろすることがあり時間を取られている。そんな訳だが、この入院ライフ、ある意味なかなかおもしろかった。病状経過ではなく、そのおもしろかった、あるいは新発見だったことなど、しばらく綴っていきたい。

 さて、それで点滴だ。
 点滴自体ははじめてではなかったが、こうも連日、長時間となると、さすがにはじめてだった。だいたい、入院自体がはじめてな訳だし。

 初日、まずは看護師の恐ろしい言葉から点滴がはじまった。

「今日の点滴が終わったら、チューブの連結部で外して、針といっしょに保護しますから、そのまま寝てくださいね~」

「え〰️! 針指したまま寝るんですか」

「そうです。大丈夫ですよ。みなさんそうしています」

「あ、あの… 抜いてもらうことはできないんですか」

「できますけど、そうしたら明日また刺すんですよ。それでもいいですか」

「いいです。抜いてください。ワタシ、寝相がとても悪いんですっ!」

 保護するとはいえ、一晩で相当動き回るワタクシが、腕に針を指したまま眠れる訳がない。もしもそれを強要されたら、保護された針を見つめながら、完徹する自信がある。だって、枕を抱えてぐるぐる寝返り打って、それで針がぐぐっと刺さったら恐いもん。それだったら、毎回新たに刺される方が何倍もマシだ。

 このような事情で、点滴治療期間の間、毎朝腕に針を刺し、夕方に抜くというルーティンとなった。

 毎日、その日の担当の看護師が、点滴のセッティングにやってくる。点滴生活がどのくらい続くのかなど考えが及ばずに、「右利きだから左腕にお願いします」と言って、左腕で点滴を受けていた。

 しかしほぼ毎日、検査のための血液採取もあった。これも最初は左腕からスタートしたが、ほどなく本人の同意はないまま、右腕からの採取に変わった。点滴経路を確保するためだったのだと思われる。

 数日経つと、点滴セッティングの際に針を刺すのを失敗する看護師が現れた(怒ってはいない)。失敗されても死ぬほど痛いという訳ではないので、怒る気は毛頭ない。だが、看護師の方の申し訳なさ加減がかえって申し訳ない気持ちになる。

 かくして、点滴経路も右腕併用となった。
 それでも、針を付けて寝ることよりはずっとよかったのだけれど。

 ときには、超ベテラン看護師や点滴の針刺しが得意な看護師がその日の担当になって(もしくは点滴だけのためにやって来て)、左腕でも難なく針を刺していった。

 12日間点滴をしたので、最低でも12回。加えて、記憶にある限り7回くらい失敗があったので、合計19回、そして、入院期間中、14回くらい採血をした。採血失敗もあったから15回とすると、どうやら18日間で34回、腕に針を刺されたようだ。

 ワタクシは、根本的には注射嫌いではない。だが、この数字を見ると、注射が苦手な方は大腸憩室炎にはならない方がいいと思う。絶対に、ならないほうがいい。

 こんなワタクシでさえ、腕から経路が取れなくなったらどうするのか、考えたくはなかったのだから。

興味を持ってくださりありがとうございます。猫と人類の共栄共存を願って生きております。サポート戴けたら、猫たちの福利厚生とワタクシの切磋琢磨のために使わせて戴きます。