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あるときの話
サッカーがしたかった。
小学2年生になった頃、うちの学校でサッカー少年団があることを知った。
その日は日曜日で、いつも見ていたアニメを見るのを諦めて、その少年団に入るために学校に向かったのだ。
みんなボールを蹴って楽しそう。
自分もあそこに混ざりたい!
気持ちがどんどん溢れていく。
ワクワクしてきた!今、母と監督みたいな人?が話している。
その話が終わったら混ざれるんだ。早く話終わらないかな・・・
お、話が終わった!どれどれ、どこでボールを蹴れるのかな?
『人数が多いので、入ることができないです。』
え?入団拒否・・・
そんなことがあるのかと唖然・・・
好きなアニメを見ることを諦めて、サッカーができるというワクワクを胸にここにきたのに!?
しんみりとしながらその場を後にした。
そもそもやりたいということはできるできないとかじゃなくて、できるという選択しかないと思っていたから、断られたという事実がどうも納得できなかったことを覚えている。
その後は何事もなかったかのように毎日を過ごした。
サッカーのサの字も出ないくらいに毎日外で遊んでた。
結局、時間が経つとそんな悲しい気持ちもスッと忘れる。
その後、社会人になってからサッカーとかフットサルを始めたけど、あのときのワクワクとか楽しさみたいなものは感じることができなかった。
あのときのあの感情は、あの時にしか感じることができないものだったと。取り戻すことはできないんだと気づいた。
後悔もした時もある。もしあの時サッカーをやっていたら、今頃もっとボールを上手く操れて、もっともっと楽しくできただろうな、と。
でもそれはもうないこと。
何をどう感じてもないものはない。
もしもの悪魔に取り憑かれているだけだ。
後悔のないように生きるというよりもそのときの最高な状態を生きるみたいな感じなのかな。
もしも、あのときサッカーをやっていたら、自分はもっとサッカーを楽しめていたのかもしれない。
今から目を背けているだけだ。自分がうまくできていないことに対して、過去の自分に責任をなすりつけているだけ?
今だ。今は今しかないんだから、今を生きねば。
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