2022/10/28 40歳からはおまけ

 池田清彦『40歳からは自由に生きる 生物学的に人生を考察する』(講談社現代新書)を読んだ。要旨は「まえがき」にほとんど書いてあるとおり。40歳以降は人生のおまけだから、自由に生きたほうがよい、というもの。おおむね納得しながら読んだが、こういった生き方ができるのは、やはりそれなりの能力と経済力がある人なのだろうと思う。 

 「ヘイフリック限界」だとか、「ヒトとチンパンジーのDNAは98.8%は同じ」だとか、「FOXP2という遺伝子が言葉を話すのに欠かせない遺伝子である」だとか、生物学的な情報は素直にへぇそうなんだ、と思わせてくれるし、もうちょっと専門的なものも読んでみようという知的刺激を得られた。ただ、そこから人間の生き方につなげての考察は、それこそ人それぞれで反感を持つ人もたくさん出るだろう。生物のヒトと社会的な人間では、そもそも考察する立ち位置が違う。それをつなげるところが面白いのだが、そうは言っても、社会に生きている私たちにとって話はそう単純ではない。たしかに余生を楽しむという生き方は、責任も少なく、ストレスも少ないが、そのかわり、熱量も少ないので、圧倒的な感動体験!のようなものを放棄しているように感じる。 

 なにはともあれ自分のできる範囲で、新しいことを取り入れて、一歩一歩人生を歩んでいきたいと思う。 

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