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人前で話す

先日、友人と話していた時に、人前で話すことが話題になった。
友人は学校や塾で長年教えていたので、人前で話すことはお手のものかと思っていたら、「大人に話すのは苦手」と言われ、そうきたか!となった。
私は逆に、前職で情報システム部に属していたので、社内の人を集めてシステムの説明や勉強会などしていたので、大人に話す機会がたくさんあった。緊張はするが、場数を踏んでいくうちに苦手ではなくなってきた。
どちらかというと子ども相手する方が苦手かも…と言ってから、お互いにどうして苦手なのかという話になった。

その時に私が話したのは、子どもは大人(自分)と住む世界が違うから、ちゃんと伝わるのかが心配になる。
且つ、自分が学生の時の記憶から、先生という立場はその立場だけで嫌われたり、その他割と理不尽な理由で嫌われたりする。

一方、大人相手だと、集まっている時点である程度の期待値が分かっており、その期待値に見合えば理解してくれると考えられる。
システムの話でいえば、まぁ大体は皆、ネガティブな感情を持っているので(基本的に新しいシステムになることへの拒否感情を持つ)、それをどれだけ解消できるかにフォーカスすればいい。
また大人なので、理不尽に嫌われることはあまりない。あったとしても、本当に少数であり、大体は周りにも困った人認定されることがあるので、その人に同調する人はほぼおらず、むしろこちらに同情してくれるはず。

そんな話をした。
後から考えると、結局自分は嫌われることが怖いのか?と思った。
でももう一度よく考えるとちょっと違う気がした。

もちろん嫌われることも怖いのだが、それよりもその人の人生に与えるインパクトの多少に苦手意識が関係ある気がしてきた。

なぜそれを思ったのかというと、絵で食べていきたいと考えた時に、絵の販売と一緒に絵の描き方を教えるのもやったほうがいいと言われたことに話がつながる。
今だったらオンライン絵画教室もできると言われ、その方法についても教わる機会があった。
一応、授業のカリキュラムを考えて第一章第一節(つまり最初のちょっとだけ)の動画も作った。
でもそれを作るのに大きな躊躇に見舞われて、なかなか先に進められないのだ。

その事実を思い出した時に、オンラインといえども、大人の前で話すのと近しいところがある。
それに大きな苦手意識を抱えているということは、子どもの前で話すことだけが苦手というわけではないということになる。
なぜ苦手なのか考えた時に、絵の描き方を教えるとなると、その人の絵描きライフに影響を与えることになるからではないかと行き当たった。
もしたら私の描き方は悪癖があって、それを伝えてしまうかもしれない。それによって絵が上達しなくて絵を描く楽しみを見出だせず、描くのを辞めてしまうかもしれない。

ちょっと考えすぎかもしれないこの思いに達した時、子どもに話す苦手意識も根源は同じかもしれないなと思った。
子どもにものを伝える時は、大人に伝える時よりもその後につながる影響力が大きいはずである。
少なくとも、システムの話をするのは、子どもに初めてゼロの概念を説明するより、はるかに気が楽である。

ということで、友人には色々と偉そうに話してしまったが、実際のところは人の人生に責任を持ちたくないという、自分の残念なところが苦手意識の根源のようだ。
おそらく、講師や先生といった人たちは、人の人生に影響を与えることをネガティブにとらえるのではなく、むしろよりよいものに変えてあげたいという強い意志を持っているのだろう。そんな人たちへは尊敬の念しかないのである。

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