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#27 「問題」行動対応の検討フロー 【ABA実践】

子どもたちが見せる様々な行動の内、「減らしたい・やめさせたい」ものへの対応方法シリーズを続けています。

放課後デイに来る知的な遅れや発達上の課題がある子たちと接する中では、激しい自傷や他傷、物を壊すといった「問題」行動が何度も繰り返されてしまうことがあります。

普段の話し合いでは解決の糸口が見えない場合、専門的な手段を取り入れてみることがヒントになるかもしれません。

今回は、ABA(応用行動分析)を活用した「問題」行動対応検討の流れについてご紹介します。

行動の強化要因を特定

繰り返される問題行動は、行動によって「本人にとって嬉しい/期待通りのこと」が起きる、という結果によって強化されています。

ABAでは、問題行動の代表的な強化要因は次の4つとされています。

まずはどれに該当しそうかを考える所から出発するのが効果的です。

  1. 注目:その行動をとると、人の注意を獲得できる。

  2. 要求:その行動をとると、欲しいものが手に入る。

  3. 感覚:その行動をとると、感覚的に満足する。

  4. 逃避:その行動をとると、苦手な状況から抜け出せる。

実際には複合していたり、あてはまらなさそうな場合、職員間で「注目じゃない?」「感覚じゃない?」と意見が分かれる場合もあります。

考えてもなかなか答えが出ない場合もありますが、ひとまず仮説を1つ作り、対応方法を考えます。

対応を変化させる

強化要因によって、とるべき対応が変わります。

・注目:無反応を統一した対応にする


・要求:適切な要求方法ができるまでは、要求に応じない
(例)おやつが欲しくて扉をがちゃがちゃする→「おやつカードを職員に渡す」という行動がとれた時にだけおやつを提供するようにする


・感覚:社会的に適切な方法で、似た感覚刺激が得られる物を提供する
(例)服のエリを噛む→タオルを渡す、窓や机をコンコン叩き続ける→プチプチや新聞紙破りなど手応えを感じられる遊び道具を用意する


・逃避:社会的に適切な逃避の方法を伝える
(例)課題がうまくいかないと離席して部屋から出ていってしまう → 課題中「休憩」カードを職員に見せると1分ソファで休憩できるようにする

注意点:消去バースト

以上を実践し、「問題」行動が消去されることを目指します。
この時注意する必要があるのが「消去バースト」です。

PC作業中に急に反応しなくなった時、動かないとわかっているのにマウスを連打する、という行動をついとってしまいませんか?

これまで得られていた結果が急に得られなくなると、一時的に行動が激化することがある、というのが消去バーストです。


大声を出すと職員が慌てて飛んできて注意を獲得できている、という例を挙げます。

「注意獲得」によって強化されている行動なので、「無反応」が対応の原則です。

ところが、いざ無反応で対応してみると、「もっと大きな声を出す」「声出し+壁も叩く」と行動がエスカレートしてしまっている、こりゃまずい、急いで止めなくちゃ。。

と、対応してしまうと、「そうか、大声でダメな時は壁も叩けば来てくれるのね」と誤学習してしまうかもしれません。

一時的な行動の激化が見られたとしても、適切な方法で注意獲得できるようになるまでは対応を貫き通す。
そのための安全な環境づくりや、ぶれないためのチーム内対応統一が必要です。


以上、実際に放課後デイで日々行なっている対応検討の手順でした。

ではでは。

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