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#45 切り替え課題への対応

障がいのある子どもと関わる育てる
発達支援初任者に向けたシリーズ、第7回です。

「おやつだから隣の部屋に行こう」
「帰る時間だから靴を履きにいくよ」

行動の「切り替え」を促しても、
反応が一切なかったり、
うなづいたり空返事をするものの、動く気配がなかったり。

発達支援が必要な子たちの中には、
「指示に反応してすぐに行動を切り替える」
ことが非常に苦手なタイプがいます。

今回はそんな、行動の「切り替え」を促すテクニックについての話です。


切り替えは「点」ではなく「面」で

ついつい、
「はい、時間ですよ。終わりにして行きますよ」
と、動いてほしい時間になってから声かけをしがちです。

が、楽しい遊びや頭の中の素敵な空想を
「今すぐやめて違うことをしなさい」
というメッセージに即座に応じるのは、
障がい特性の有無に関わらず難しいもの。

「点」で切り替えるのではなく、もう少し幅を持たせて、
切り替えは「予告」と「アラーム」の2つで1セット
を自分の習慣に。

「あと5分で行くよ」+「5分経ったよ」
「次が君の番だよ」+「順番が回ってきたよ」

という感じ。

また、
「アラーム」の声かけを聞いてから、動き出すまでに
大人が思うより少し時間がかかるタイプの子もいます。

すぐに反応がないと諦めるのではなく、
声をかけてから10秒くらいじっと待つだけで動けるかもしれません。

時間に幅を持たせて、「面」で切り替えを促す
という発想にシフトしましょう。


困った時は、視覚提示が最初の一手

「○時になったら帰るよ」
「あと○分でおしまいね」

こうした情報を「事前に」予告しておいたのに切り替えできない場合。

もしかしたら、声かけだけでは理解できていないのかもしれません。

声かけにうなづいたり、復唱があったとしても、
「大人に何か言われたらとりあえずこうしとく」
という学習の仕方をしているタイプの子も。

反射的にリアクションしているだけで、
内容はあまりピンと来ていないかもしれません。

「聞く」より「見る」方が圧倒的に得意
というのが、自閉症や知的発達に遅れがある場合の特性でした。

まずは「視覚的に示す」ことを試してみると
すんなりいくことがよくあります。

・文字に書く
・写真や絵カードを見せる

だけでなく、

・靴やカバンなど、次の予定に関する具体物を見せる

ことも有効です。
その子にあわせた「次の予定の視覚化」をしてみましょう。


それでもダメなら、何かを変える

「事前に」「視覚的に」予告をしておいても、
呼んでも見せてもなかなか切り替えられない、
という時もあります。

手を引いたり、抱きかかえたりする
「力」による手段の前にもう何点かだけお試しを。

人を変える

違う大人が呼びにくるとすんなり動いたり、
大人はダメでも子ども同士での声かけなら切り替えられたり

ということもよくあります。

支援者としては「自分の力で解決を」
と肩に力が入りがちですが、
目的が達成できるなら、「自分」に囚われすぎないで。


環境を変える

・部屋の電気を消す
・カーテンを閉める
・周辺を片付ける

など、子ども本人はそのままでも、周囲の環境を変えることで
「動き出すきっかけ」を作れる場合もあります。


声かけを変える(機械アラーム)

声かけでは全然動かないのに、
タイマーや携帯アラームといった機械音が鳴るとぱっと動き出すタイプの子もいます。

音が不快で反応している場合もあることには要注意ですが、
支援者としての引き出しの中に1つ持っておくと役に立ちます。




以上、行動の切り替えに課題がある場合への
支援者としての対応方法色々でした。

力や強い言葉で「その子を変える」のではなく、
知恵を絞って「大人側の対応方法を変える」
ことが発達支援の基本です。

すぐには上手くいかないことも多いですが、
粘り強く色々な方法を試してみることが自分の経験値になっていきますよ。


ではでは。



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