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ビールのアテにもぐりとハムカツ

ハムカツが好きだ。

場合によってはトンカツより好きかもしれない。その場合とは居酒屋で憩う場合に限られるのだが。

キリリと冷えた瓶ビール(自分の好みでは赤星が最上)。これをビア単にちょぼちょぼと注ぐ。注ぎながらお供は何にしようか、メニューを見ながら考える。ここはやはり揚げ物か、少し腹に溜めたいし。

こんな時はハムカツが良い。なんといってもお手軽かつリーズナブルである。こういった気取らぬメニューこそ居酒屋の逸品である。

ハムカツには二種類ある。厚い奴と薄い奴だ。

大抵の居酒屋に生息する奴は薄い族だ。薄いハムに、同じぐらいの厚さの衣を上下に纏って運ばれてくる。気軽にさくさくと食べられて実に良い。スナック的な一品と言えるだろう。

希に分厚い族が生息している居酒屋もいる。こいつらは薄い族とは一線を画して、ちょっといい顔の兄ちゃんくらいの存在感を放っている。不意打ちされるとちょっと怯んでしまうほどだ。歯ごたえは重く、しかし纏う衣は軽く、口中にはっきりとした印象を残して去って行く。

どちらが良い、という訳では無い。その場に合ったハムカツが、ただ存在するだけだ。こちらはありがたく口福を頂くのみである。

口福を味わうためには、遠慮無くソースをどぼどぼとかけて頂きたいものだ。まれにソースがかかった状態で出てくる(そして卓上にソースは無い)半端物がいるが、これは頂けない。あくまでいただく本人の好みの量をだばだばとかけたいものだ。

東京の大抵の居酒屋では中濃ソースが供される。これはこれで無難な選択肢と言えるだろう。ちょっと気の利いた居酒屋だとウスターソースが控えている店もある。これはこれでなかなか嬉しい。愛知県出身者としてはコーミソースを駄馬駄馬といきたい所であるが、まぁローカルなソースなので外では諦める事としている。

お供にカラシが添えてある店が多い。こいつをつけて食せばさっぱりと頂ける。揚げ物にカラシ、誰が思いついたのかは知らないが鉄板の組み合わせと言えよう。

希にマヨネーズも合わせて添えてくれる店がある。こう言った場合はちょっとしたいたずら心でカラシ醤油マヨネーズを小皿に作りいただく場合もある。変化球だがなかなかいけるものがある。特に飲み物が日本酒に変化している場合は、ソースより実によく合う。ゲテモノと思わず、一度試して欲しい。

ただハムに衣をつけて揚げただけ。これだけのモノなのに店によって千差万別のバリエーションが存在する。中にはポテサラと同衾してくるケシカラン奴もいるが、これはこれでなかなか味わい深いものがある。

嗚呼ハムカツ。おそらく少なくとも今世紀中は居酒屋メニューの揚げ物王者であろう。
そんなやくたいもない事を考えつつ、今宵ももぐもぐと頬張るのである。

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