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#03 読みたい、伝えたい

《齋藤孝 著『難しい本をどう読むか』を読んで》

 文章の難しさには、「意味のある難しさ」と「意味のない難しさ」がある。前者は、強いメッセージが込められた独特な表現が多い文章で、後者はただ難解であることが目的であるかのような文章。後者の書き手は読者を萎縮させ虚勢を張っているようなものだから、読者はそれを哀れめばよい、と筆者は述べる。

 ぎくっ。思い当たる節があった。

 高二の秋、所属していた吹奏楽部で、学生指揮者が今後の活動方針を文章で示すという集会があった。僕が示したいことははっきりしていた。「音楽をきっかけに、部員一人ひとり異なる価値観をお互いに認め合い、共生していこうね。」素直にそう書けばよかったのに、出来たのは、回りくどい表現や比喩を「駆使」した「賢そうな」文章。「デキる」先輩ヅラをしたがった男の、なんと哀れなことよ。後輩には思いが伝わらなかったばかりか、不快にさせたかもしれない。本書は、読み方・伝え方の両方を見直すいい機会となった。

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