「スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース」感想(ちょっとネタバレあり)

「スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース」を観てきた。
実験的でありなおかつポップな映像については言うことないのだが、お話のメインが、

「大人になるために変化しつつある少年・少女と、もう幼い子供ではないわが子の成長にとまどう親」

というもので、それがかなり丁寧に描かれる。
が、未婚・子供もいない自分にとっては別にぜんぜんどうでもいい話なので、映画全体がかなり長く感じた。

この映画のメインターゲットってだれなんだろ? マイルスやグウェン側の少年少女なのか、それとも子供の頃からスパイダーマンを追っていて、いつの間にか人の親になった年齢層の人たちなのか?
「ザ・フラッシュ」とまったく同じである「マルチバースで起こった運命は変えられない」というもうひとつのテーマに関しては、「次作に続く」って感じだったな。

しかしこの映画もそうだし「ザ・フラッシュ」もそうだったが、タイムリープとかマルチバースみたいな概念を「人間中心の、主観的なもの」ととらえすぎだろう。
「変えていい運命」と「変えてはいけない運命」が存在するというのは人間側の考えにすぎない。
「時間の流れ」が物理現象であるなら、その中で生きる人間の心情なんか関係ないはずだが(当人の人格形成に重要な人生経験は確かにあるが、それは「時間」をつかさどる神がいたとして何も関係ないだろう)。

そのこととは別で冒頭の話に戻るが、「マルチバース」をテーマにした「ザ・フラッシュ」にしろこの映画にしろ、根底には「いちばん大切なのは家族」というエンタメ映画で百億万回描き続けたテーマが繰り返されているのみで、そういう意味では「またこれか!」であった。

「絶対的に孤独な人間」を繰り返し描いている細田守監督が恋しくなった(すいません、未来のミライだけ観ていません)。

誤解を恐れずに言えば「真に孤独な人間には排他的な展開だな」と思わざるを得なかった。
もちろん、映画としてはとてもよくできている。観た方がいい作品ではあるんだけどね。

おしまい

#スパイダーマンアクロスザスパイダーバース


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