優勝賞金1億円?駅伝のプロリーグ構想とは?
みなさん、こんにちは!
13分台チャレンジャーのRYOTAROです!
前回の記事「実業団の仕組みってもったいなくね?という話」では、実業団からクラブチーム化を!というテーマで、色々と好き勝手に書かせて頂きました。
多くの方から、コメントや感想を頂けたことがとても嬉しく、改めて、自分自身も考え直す良いきっかけとなりました。
本当にありがとうございました!
さて、今回は続編として、クラブチームを機能させるには、「プロリーグが必要である」というテーマでお話していきたいと思います。
※前回の記事をまだ読んでいない方は、そちらを先に読んで頂くことをオススメします。
クラブチームとプロリーグには、どのような関係性があり、なぜ必要なのか?
また、プロリーグを運営するには、どんな要素が必要で、具体的にどんな運営方法が考えられるのか?など、自分なりに考えてみました。
自分自身でも正解は分かっていないので、ぜひ皆さんにも、一緒になって悩んで頂き、陸上界の発展について議論ができたらなと思ってます。
予めお伝えしておきたいのは、この記事は、陸上界のコーチ、選手を否定する内容ではありません。
陸上界という仕組みについての「改善」「提案」ですので、そこだけは誤解の無いように読んで頂けると幸いです。
では早速、本題に入りたいと思います!
なぜ、プロリーグが必要なのか?
結論から言うと、プロリーグ化した方が、人気が出るし、収益性も向上すると考えるからです。
語弊があるといけないので、補足すると、プロリーグ化した方が、陸上競技の魅力を伝える「質と量」が増加し、その結果、人気が出て収益性も向上すると考えています。
プロリーグ化というのは、手段であってGOALではないので、既存のシステムでも事足りているのであれば全く必要ないんですが、個人的には、新たな組織や団体が必要と感じるので、このような提案内容となっています。
分かりやすい例を用いてみましょう。
プロリーグとクラブチームを、テレビゲームに例えると、以下の関係になります。
プロリーグ=ゲーム機本体
クラブチーム=ゲームのカセット
テレビゲームの場合、ゲーム機本体、もしくは、カセットのどちらかのみをバージョンアップしても意味を成しません。
セットで改良されていくからこそ、そこに新しい価値が生まれて、これまでのファンも、新規のファンもついてきます。
陸上競技も全く同じだと私は考えています。
仮にクラブチームだけが発足しても、既存の枠組みの中で興行を行ったとして、どれほど魅力的なコンテンツを届けられるでしょうか?
競技経験のある方ならご存知だと思いますが、何年経っても代わり映えせず、創意工夫の少ない大会運営。
それが故に、いつも、恐ろしいほどに空席の目立つガラガラなスタジアム。
最近では、大会のライブ中継も多くなりましたが、周囲の評価を聞いてみると、陸上競技の面白さがあまり上手く伝わっていないのかな?と感じています。
私は、これらゲーム機本体に当たる運営自体も、改善する必要があると思います。
ゲーム機+カセットのように、プロリーグ+クラブチームが揃ってこそ、双方の良さを活かしたスポーツビジネスとしての発展が期待できるのではないでしょうか?
ちなみにプロ野球やJリーグなどの他競技では、当たり前のようにこの仕組みが採用されていますね!
最近では、プロ化を視野に入れ、2018年に卓球のTリーグが設立されたことが記憶に新しいです。
サッカーに関して言えば、1993年のJリーグ開幕以前までは、今の陸上界と同じような構造だったなんて信じられませんよね。
当時の実況では毎回オフサイドの意味を説明をするほど、サッカー人気は低く、マニアが観るものというイメージだったようです。
そこから20年余りで、今では子供が憧れる職業にも選ばれているなんて、本当に見習うべき点が多い業界です。
ちなみに、Jリーグに加入する55クラブの2019年度の経営情報は以下の通り。
営業収益は55クラブ合計で1325億円(前年比+68億円)を計上し、9年連続の増収。 全体の成長率も105.4%となった。 内訳はスポンサー収入が48%で640億円(前年比+45億円) 、入場料収入が16%の216億円(前年比+23億円)
このように経営面でも非常に好成績を残しています。
しかし、陸上競技の場合、プロリーグを設立したところで、プロ野球やJリーグのように発展しないのではないか?という疑問もあるでしょう。
ですが実は、日本という国は、陸上競技のプロリーグを設立する上で、世界で一番適している国なのではないかと、個人的に思っています。
なぜ日本は、陸上競技のプロリーグ設立に適しているのか?(厳密には駅伝のプロリーグを想定しています)
その理由を説明していきたいと思います!
なぜ日本は、陸上競技のプロリーグ設立に適しているのか?
日本では、一般的な陸上競技種目の他に駅伝という特殊な種目が存在します。
駅伝といえば、真っ先に思い浮かべるのが「箱根駅伝」ではないでしょうか?
正月の風物詩となった箱根駅伝、直近の視聴率は、なんと30%越え!!
経済効果は、数十億円近くあるのではないか?と言われています。
また経済面だけでなく、毎年多くの人が沿道に駆けつけ、人垣を何層にも作りながら応援するという点から「ファン度」も非常に高いコンテンツと言えます。
このように、スポーツビジネスとしての価値に加えて、一般大衆に広く愛されているのが箱根駅伝であり、その根幹にあるのが駅伝です。
日本独自の駅伝文化、国民のほとんどが知っている、もしくは体験したことがあるこの競技は、広く親しまれ、受け入れやすい土壌ができていると言えるでしょう。
だったら既に存在する、この利を使って、駅伝をプロリーグ化しましょう!というのが私の考えです。
駅伝をプロリーグ化すると、どうなる?
私が考えている駅伝のプロリーグ、「JAPAN EKIDEN LEAGUE」(以下JEL)は、6つの要素で構成されています。
①JEL公認のクラブチームのみ出場権が与えられる
②選手は、U-15-U-18-U-22-成人から2名ずつ選出の計8名構成
③開催頻度は2-4回/年(地区予選は別途開催)
④優勝賞金1億円(クラブチームに対しての賞金)
⑤JEL独自の広告規定
⑥コースはサーキットなどを利用した周回コース
一つずつ理由を説明していきます。
①JEL公認のクラブチームのみ出場権が与えられる
これは前回の記事でもご説明したのですが、今後の陸上界の発展には実業団よりもクラブチームの方が適切だと考えているので、クラブチームの発足を促すために設定したルールです。
JELに加盟するクラブチームには、スポーツビジネスを行う上で重要と言われる、三つのミッションを軸に運営をしてもらいたいと考えています。
既存の実業団システムでは「勝利」・「資金」は満たしていても「普及」が圧倒的に不足していると感じています。
クラブチームの必要性や、なぜ実業団に「普及」が不足しているかは、前回の記事をご一読頂けると幸いです。
②選手は、U-15-U-18-U-22-成人から2名ずつ選出の計8名構成
前回の記事も含めて、ここで初めて競技的な点に触れることになります。
非常にナイーブな部分なので、もしかすると気分を害する人も居るかも知れませんが、一意見として読んで頂けると嬉しいです。
既存の陸上界の育成システムというのは、各カテゴリーによって分断され、各カテゴリーで結果を残すための育成手法が取られています。(もちろん該当しないケースもあります)
例えばU-18で考えると、インターハイで結果を残すことだけを目的に、将来の伸びしろを削るような過酷なトレーニングを課すなど、長期的な視点を持たずに、選手のコーチングが行なわれているケースが見受けられます。
それもそのはずで、各カテゴリーによってコーチは変わり、コーチは限られた時間で結果を求められるため、選手の将来性よりも結果を優先してしまいがちです。
これは誰が悪いという訳でなくシステムに問題があると思っています。
そしてこの課題はクラブチームを導入する事によって、改善できると考えており、なぜかと言うと、クラブチームの強みは選手を長期目線で育成できる点で、ジュニア期から、計画的、段階的にコーチングすることが可能となります!
またチームとしてそういった考え方を共有できていれば、選手の、ある年代において、無理をさせてでも結果を残すためのトレーニングを課す、というようなコーチングは取られにくいのではないか?と思います。
補足になりますが、賞金のかかったレースにU15-18の選手達を入れたら、それこそ過剰なトレーニングを課すのではないか?というリスクも出てきますが、そこは月間の走行距離やトレーニング強度割合に規定を設ける事や、各クラブチームにスポーツ科学班(第三者的な立ち位置)を導入すれば解決できるでしょう!
このような仕組みを構築できれば、スポーツ科学の課題である、研究側と現場側の乖離も、同時に解決する事にも繋がります。
③開催頻度は2-4回/年(地区予選は別途開催)
開催頻度は、選手の競技や強化に影響のない範囲で検討した結果、年に2-4回開催が妥当な回数だと考えています。
あくまで日本陸上界の発展が目的になるので、回数を増やしすぎて、JELが国内のスポーツイベントで終ってしまったら元も子もありません。
まずは国内での人気を高め、陸上界と選手の価値を最大化しつつ、世界に挑戦する選手を輩出する、という流れが一番理想的です。
駅伝に限らず、JEL主催のトラック競技大会なども開催してければ、さらに面白いコンテンツになると思います!
④優勝賞金1億円(クラブチームに対しての賞金)
優勝賞金をここまで釣り上げたのは、二つ理由があります。
①選手の環境を良くする
②世間の興味関心を引く
①は説明をしなくても伝わると思うので割愛しますが、②に関しては狙いを説明するのにぴったりの小説があるのでご紹介します。
サン=テグジュペリ作の「星の王子様」にこんな一文が出てきます。
もしあなたが大人たちに対して、
「バラ色のレンガでできた、とても美しい家を見ました。窓にはゼラニウムの花が飾ってあり、屋根には鳩がとまっていました」
と言っても、大人たちはそれがどんな家なのかまったく見当もつきません。
その代わりに、あなたがこう言ったとしましょう。
「1億2千万円の家を見ましたよ。」
すると彼らはこう言うでしょう。
「それはさぞかし素晴らしい家だったでしょう!」
この文を初めて読んだときは、凄く恥ずかしい気持ちになったのと同時に、妙に納得したのも覚えています。
ちゃんと競技の魅力を伝えていくのも大事ですが、時には誰にでも分かりやすい材料を使って、興味や関心を引くというのも大切だと思います。
一番気になる、1億円はどうやって用意すんねん!という点に関しては、頑張って用意します!としか言えません(笑)
⑤JEL独自の広告規定
今年からユニフォームの広告規定が改定されて、今までよりも、広告掲載の面積は増えた訳ですが、それでも小さすぎると感じています。
そして、ゼッケンの広告収入は大会側に入るという仕組みも解せません。
一番目立つところ(胸と背中)の広告枠を奪っておいて、なんで更に広告の掲載面積を規定してんねん!という感じで、非常に主催者側に有利な構造だと思います。
こういったパワーバランスの偏りを無くすために、JELでは、独立リーグという利点を活かして、広告の制限を無くし(限りなく少なくして)加盟するクラブチームに、より多くのメリットが出るような形を取りたいです。
そもそもゼッケンとかいらないんじゃないの?と思ってるので、ゼッケン無しでも競技が運営できる方法を模索していきます!
⑥サーキットなどを利用した周回コース
周回コースを選定した理由は、収益の最大化を目的にしています。ここで言う収益とは、一体何を指すかというと、以下の通りです。
1)広告収入
2)チケット収入
3)飲食・物販収入
既存の駅伝大会は、ほとんどが一般公道を用いて開催されますが、そうすると上記の収益の中でも広告収入しか得ることができません。
また広告収入も、公道を利用した場合、広告を出す場所に制限が生まれ、機会損失が出てしまいます。
どういう事かと言うと、例えば、陸上競技でもトラック種目だと、スタジアム内に広告宣伝スペースを設置したりしてますよね?
大きな大会になると、レーンの外側などに企業の看板などが並べられている光景をよく目にすると思います。
野球やサッカーでも、こういったタイプの広告宣伝は、必ずと言っていいほど用いられていますが、駅伝の場合は、公道を移動しながらレースが進むので、このようなタイプの広告との相性が非常に悪いと言えます。
でも、よく考えてみえると、駅伝は公道でやりましょう!なんてルールはありません。(走る方からしたら景色が変わった方が面白いかも)
であれば、周回コースで駅伝を開催した方が、圧倒的にメリットが多いので、JELでは周回コースを積極的に採用します。
応援する側の視点で考えても、選手が一瞬で通り過ぎて、あとはTV中継…より、目の前を何回も走ってくれた方が、観やすいし面白いですよね!
補足①:JELの収益構造
ここまでJELを構成する6つの要素を説明してきましたが、肝心なJELは何で収益を出していくのかというと、以下のようになります。
・放映権(abema.tvさんぜひお願いします)
・広告収入
・イベント料
・グッズ売上
・クラブチームから加盟料の徴収
この辺りは他のプロリーグを参考にしています。
どの項目がどれくらい収益を作れるか?
などは、現段階では全くもって試算していないのでご了承ください(汗)
補足②:JELの理念
話の順番が前後しましたが、JELの理念は以下の通りです。
「日本陸上界の価値を最大化する」
この最大化の中には、「勝利」・「資金」・「普及」がもちろん含まれています。
また駅伝リーグというと、駅伝至上主義のように捉えてしまう方もいると思いますが、大前提として、トラック種目やマラソンで、世界で戦うための手段として、JELは機能しなければいけないと考えています。
補足③:JELの活用方法
実際にJELが発足された場合、どんな形で活用することになるのかを想定してみます。
JELでも、駅伝以外にトラックレースなどを開催することはできますが、国際的に公認記録として認めてもらえなければ、選手にとってマイナス面も大きいです。
従って、基本的には、JELを活用しながらもこれまで通り、既存のレースにも参加していくスタイルになると思います。
なので、大きな特徴としては、レースによって、ユニフォームを使い分けながら(広告規定があるので)競技会に参加することぐらいでしょうか?
一番嬉しいのは、JELの公認記録をIAAFでも公認にしてもらうか、JELがIAAFと同等、もしくはIAAFを超える団体になることですね。
先は長いです(笑)
補足④:世界展開を見据えたJELの発展
JELは日本だけに留まらず、日本でこのモデルが上手く機能した場合、世界各国に展開できる可能性を秘めています。
仮に、世界中に、○ELという団体が設立された時には、EKIDENリーグの世界大会開催など、より面白いコンテンツとして広まっていくでしょう!
そして、その時にはJEL自体の収益も上がり、その資金はクラブチームにも還元されていくという好循環を生みます。
そんな広がり方をしていったら最高ですよね!
最後に
ここまで、約7000字にも及ぶ、私の個人的な夢物語にお付き合い頂き、本当にありがとうございました!
この記事を読んで頂いている全ての方に感謝を申し上げます。
未来の陸上界をどうしたいのか?
この問いに対する答えは、人それぞれなので正解はありません。
既存の仕組みに問題があるのなら、中に入って改善するか、外に出て、全く別の仕組みを作るか、の二択しかないので、そうなったら新しい仕組みを作りたいと思ってしまうタイプです。(そっちの方が面白そうだから笑)
ボクシングなど格闘技の世界では、複数の団体が、それぞれのルールを敷いて運営し、スポーツビジネスとして成功を収めています。
そう考えると、陸上界でも新しい団体を作ることは、決してナンセンスとは思えないのです。
前回に引き続き、なぜ、このようなテーマをわざわざ記事にしているかというと、陸上界に携わる人たちにとって、今後について考えるきっかけになればと思っています。(またまた偉そうにすみません…)
もし、この記事を読んで、こんな未来面白そうだな!!とか、ワクワクする!!とか、共感してくれた方は、ぜひお力を貸してください!
皆さまからのご意見をお待ちしております!
では、またお会いしましょう!
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