見出し画像

眠るお着物① 実家に眠る二棹分の歴史

「うちにある着物、全部引き取ってもらいたいと思って。
年末に見とこうと思ったんだけど、ちょっと時間なかったから、年始に来るなら一緒に見ない?」

2024年冬。年始早々の母との電話で、実家の着物を引き取ることが決定した。
3.11で津波被害にあった際も、「なんとなく捨てられなかった」という着物たちである。

世代交代が進む中で、みんなの着物がぽんぽん捨てられる様子を見て、思うところがあったらしい。
昨年の発表会で、子が箪笥に仕舞い込まれていた曾祖父(?)の袴を履いたことも、きっかけの一つだったのかもしれない。

今回確認したのは箪笥二棹分のお着物。
母のものと父方祖母のものがメインで、一部、母方祖母や曾祖母のものもあった。
母のものは、娘時代のもののようで、全体にパステルカラーで可愛らしい。可愛らしすぎて、若い頃だったらきっと全く興味がなかったと思う。
祖母のものはもう少し渋くパープル系が多かった。

桃色で花柄でとても可愛い

実家は小売店を営んでおり、それなりに大きな家であった時代もあったようだ。
母の実家も農家ではあるが古い家であったので、出入りの呉服屋さんがおり、結婚して家を出る時にあつらえてもらったりしたらしい。

箪笥から一つ一つ引っ張り出しながら元の持ち主や物の歴史、誂えた時の思い出を語る。

紅型っぽい柄の小紋

まずは母の着物について、裄が出るか和裁士さんに相談してもらうことになった。裄が出ないものはまた別途考える。

私が日本舞踊を始めたことがバレているので、知らない人の方見分けが巡り巡って実家に届いたりする。田舎あるある。

元の持ち主もくれた人も知らない形見分けの帯

誰かが亡くなった時、お着物の運命は二つに一つ。捨てられるか、誰かに譲渡されるか、である。
どうせ捨てるなら、汚してもよいので着倒してしまえ、とのことなので、ありがたくそうしよう思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?