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【あとがき】In the blink of an eye

この記事は、前回のnoteで書いた「In the blink of an eye」という小説のあとがきになります。

今回は「渡せなかった手紙」という題材。

前回は、伝えたい言葉一つを軸にストーリーを捻り出したが、今回は先にストーリーが思いついていた。

ジャンルは、「渡せなかった手紙」から連想するものは恋愛だと一番初めに思ったので、それに従う事にしてから、すぐにストーリーが思い付いた。

1.主人公のちょっと可哀想な話にしよう
2.「渡せなかった」という後悔の念を感じるフレーズを活かそう
3.不器用な主人公が「手紙」という繊細な物に苦しめられる姿が浮かぶ
4.最後は「渡せなかった手紙」を眺めて決意する

と、いうようなストーリーにした。

書き出し

初めから話すと、書き出しは格好付けようと思っていた。あるロックバンドが、イントロなしの歌詞から入る曲ばかり作る理由として、「一番初めのインパクトで曲を印象付けたい」と言っていた事が頭に残っており、小説を書く時は初めに「コイツできそうだな」と思わせるように力を入れている。

前回の「You'll Never Walk Alone」では、対比の表現が良いとお褒めの言葉を頂いたので、今回も初めから対比を用いて主人公がどれだけ憂鬱になっているかを表現した。

実際、こういった対比の表現が好きだ。日常にありふれた平凡な感情も、周りの環境によっては特別に見える事があるように、表現の組み合わせでより感情の濃度が鮮明にする事ができる。

会話が少ない

これも意識した点。

小説を書く時に、どうしても会話を入れる事が出来ずに、プロットっぽくなってしまう事に悩んでいた。理由としては、頭の中で渦巻く感情を文字にするのが好きだから。ただの好みである。

しかし、今回も2,000字という条件で、ストーリーとしては、「渡せなかった手紙」を想ってただ一人の時が流れているので、会話のシーンは少なくても不自然ではないかなと感じ、思い切って状況や感情のみの描写にしてみた。

ストーリーが出来上がっていたとはいえ、こういった好みの描写が続くようなストーリーに少しずつ変えていました。

一人でいるのにわざとらしく独り言を入れたり、誰か他の登場人物を無理に増やすと不自然になるので、会話無しの方がストーリーには合っていたかなと思う。

良い日は悪天候、悪い日は晴天

これも少し対比になっている。

外が良い天気だと、まさかこれから悪い事が起こるとは思わないし、外が悪い天気だと、一日が退屈に感じる事があるが、やっぱり一日は何が起こるか分からない。

雨の中スキップして帰る日もあれば、晴れの日に泣きながら帰る日もある。

雨の日に一目惚れする事もあれば、晴れの日に一年付き合った彼女と別れる事もある。

小説では展開が早いが、映像として想像してみると、これから何が起こるか分からないような状況作りになっている。

対比によって、今後の展開を少しボヤかせてみる。そうすると、何か展開が起きた時に、よりそのシーンがフォーカスされる、という工夫をしてみた。

今回はこの対比によって、「人生にはいつ何が起こるか分からないよ」というストーリー的なメッセージと、次の展開のためのキッカケ作りという2つの意図を込めた。

不器用な主人公

主人公はとにかく不器用。

彼女の好きなロックバンドも好きになれない。彼女の好きなギターも上手くならない。連絡先の交換も下手。手紙の渡し方も照れ隠しでふざけてしまう。

だから手紙を渡す事ができなかった。

主人公にとって「渡せなかった手紙」が、人生における良い勉強になった。最後に少しだけ強気になる主人公。こういう展開も欲しかったから、高校生という設定にした。

そういえばまた高校時代の話

前回に続き再び高校時代の話。

小説や文章を書く時は、自分の想像の範疇に収まると思うけど、まだまだ若いのでこのくらいの年齢設定の方がリアリティを持って書けるのかもしれない。

それでも、何歳になっても青春時代の美しさを超える事はない。だから、何歳になってもこのくらいの年齢の作品には執着すると思う。

中高時代は、自分たちの世代を中心に世界が回っていると思っていた。同時に、人生でこんな瞬間はもうこないだろうなと思いながら、その時間を楽しんでいた。これからどれだけ頑張っても中学生にはなれないし、これから何を犠牲にしても高校生にはなれない。

楽しかった瞬間を切り売りするように書くこともあれば、その経験の中で別の何かが起こっていた場合の妄想を書くこともある。前回も今回も、フィクションとは言いながらも、ほとんどが自分の青春時代の日常を切り取って繋げたようなストーリー・心理状態を書いていた。

でも、年齢はともかく、努力している時間とか苦労している時間のような、人生の青春時代のような話が好きなのかもしれない。


前回もあとがきを書いた後に、書けば良かったと後悔した事が沢山あったが、とりあえず思いついた事はこのくらいです。

もし、「In the blink of an eye」観てくださった方がいましたら、コメントをお待ちしております。


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