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「新しい乗り物」の開発に携わらせていただいております<3rd>

広島商船高専 海洋空間利用工学研究室メンバー(5年生)です。

 広島県でニューノーマル(あたらしい当たり前)を創り出す、ひろしまサンドボックス「D-EGGS」の一環として、株式会社エイトノットの「EVロボティックスボートで水上オンデマンド交通の実現を目指す自律航行技術開発」に携わらさせていただいております。
 エイトノットの公式noteも大変面白いので、ぜひ読んでみてください!

 2021年10月6日より、エイトノット×広島商船高等専門学校、さらに株式会社フレスタ 大崎上島店のご協力を得て、今回の実証実験の総まとめにあたる「社会実装のための実証試験」大崎上島から隣島の「生野島」へ「自律航行船」を利用した宅配サービスの実現に関する実証試験を実施いたしました。その模様を今回、ダイジェストでお伝えいたします。

大崎上島・生野島はどんな島?

 大崎上島は、瀬戸内海の中央に位置する島であり、橋が架かっていない、完全離島です。島の面積は、瀬戸内海の離島において、オリーブで有名な小豆島についで第2位の島になっています。人口は大崎上島町において令和3年3月末で7144人(住民基本台帳人口)。主産業は、ミカンを中心とした農業、水産業、そして造船業が盛んであり、各地の造船所の造船技術の向上等も含め、島内各地の対抗で、櫂伝馬(かいでんま)による競争が、現在も行われています。

 生野島は、大崎上島の隣の島であり、白水港から町営フェリーさざなみに乗って10分ほどの場所にあります。かつては黄金の島と言われ、みかんの栽培が大変盛んな場所でした。25年前は、50人前後いたようですが、令和3年4月末では9世帯14人となっています(住民基本台帳人口)。
 また、生野島は、本島から一つのフェリー航路で行くことができない、島から島へ渡る島であり「二次離島」とよく呼ばれます。

生野島 くさの浦

 町営フェリーさざなみ(リンク先は時刻表有)は車載可能であり、1日往復7便。大崎上島白水港発生野島行きの始便は6時40分、生野島から大崎上島白水港行きの始便は7時35分、昼間時間帯は9時、14時、16時帯とほぼ便がない運航になっており、大崎上島白水港発生野島の終便は17時40分、生野島から大崎上島白水港の終便は18時35分です。2011年の統計資料によると、1年間でのべ13400人の利用があったが、2019年は11300人(1.1万人、車載2000台)へ減少している。人口の増減と、人口比率の高齢化がこの現象につながっていると考えられるが、この検討について、のちのnoteで詳しく取り上げたいと思います。

(※参考)大崎上島町の統計によると、平成27年の年少人口割合は7.1%、生産年齢人口割合が48.0%、老年人口割合が44.9%。(広島商船高等専門学校の教職員、学生で昼間人口の1割)。平成16年3月末では9635人、17年間に約2500人減少。国勢調査によると、平成17年が9236人、平成27年は7922人と、この10年で13.5%減少している。

「生野島」へ「自律航行船」を利用した宅配サービスの実現に関する実証試験を実施した理由

 このような現状に置かれている、大崎上島の公共交通の在り方を検討された資料に、大崎上島町地域公共交通計画があります。この資料によると、令和2年度の町民アンケート調査結果によると、約9割の方が、将来の外出時の交通手段に「不安」を感じていること、さらに、不安の割合は5年前の調査結果より高まっていることが記されています。その理由は、約1000人のアンケートにおいて(2つまでの複数回答ができる)下記に示すものでした。

高齢により運転できなくなったら不便(770票)
将来、バスや船などが減便、廃止されると不便(352票)
移動の手段が不便になると、外出が少なくなる(275票)
高齢によりバスなどの乗り降りが大変(156票)
家族が高齢になり送迎してもらえなくなったら不便(105票)
ガソリン代やタクシー運賃などの経済面が心配(56票)

 これらの結果から、二次離島である生野島において、生活必需品の買い物代行は大きな社会課題の解決できる方法の一つだと仮説を立てました。また、この課題解決にオンデマンド型の自律航行船による島間輸送を行うことで、コスト削減や需要にあった輸送が可能になり、必要に応じて輸送以上の価値を持つことができるサービスを創出できるのではと考えました。大崎上島町役場・生野島の住民の方々のヒアリングを行い、「離島でもすぐに届く宅配サービスに関する実証試験」を実施することに決めました。

生野島の方とのヒアリングの様子

「離島でも頼んですぐ届く宅配サービス」の概要

 生野島の住民の方々のご協力を得て、電話での注文、買い物代行を実施、その後エイトノットの開発している自律航行船に荷物をのせて、生野島に向かいます。このUX(サービスを使ってくださった方の体験談による評価)の検証を経て、コンセプトや持続可能性の検証を行います。

 次回の記事では実際に、実証試験の模様をダイジェストでお伝えできればと思います。よろしくお願い致します。

参考文献









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