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「瀬戸内海の津波を知ってみよう」出前授業後に総合的学習で挑んでほしいこと

3年ほど、出前授業にて「瀬戸内海の津波を知ってみよう」という題材で、広島県の中学校に訪問をさせていただき、50分ほどで授業をさせていただいております。その中で、総合的学習の「防災教育」の一環で、本授業を受けてくださっているところを見ていて、なかなか50分では話せない内容であり、さらにアップデートも多い分野なため、授業後の自学自習で役に立ちそうなことを整理してみました。

さらに更新していきたいと思っています。

全国の小中学校での下記より出前授業を受けております。もしよろしかったら、お願いいたします。
> No.58 出前授業|入学案内|広島商船高等専門学校 (hiroshima-cmt.ac.jp)

1.津波から受ける波の力について

1-1 瀬戸内海に到来する津波の高さは高くない…けれども

 授業で、「50cmの津波でおとなが流されてしまう、転倒率が非常に高いこと」を説明したとおもいます。

授業で紹介をしたサイトになります。HPの後半の図4と、図4の説明が重要です。授業でもお話をしましたが、①水は想像以上に重いこと(1m立方で何キロか?)、②速度がつくとさらに大きな力が働くこと(作用すること)、授業でお話できなかったこととして、③ひとつの波がキロメートル以上あり、遭遇したときには水面から底まで同じ勢いであり、そこの砂ごと持っていくことがあります(洗堀といいます)。波がさらに崩れることにより勢いが増すため、開けた海岸は非常に危険です。
 海水浴などしている場合は、「到達高さ30cm」だからといって油断してはいけないこと、瀬戸内海でも、砂浜海岸から一段以上高いところに避難してほしいです。(台風·高潮と同じ避難方法でよいと思いますが、各場所ごとの避難方法に従ってください)
 津波による力の作用については高校物理の学習が必要ですが、先ほどの有川太郎先生の記事の前半をぜひ勉強してみてください。

1-2 「津波注意報」の注意報は、注意ではすまないおそれ

授業で、下記のスライドを授業で紹介をしたかと思います。

この注意警報の問題点が分かった方は素晴らしいです!

注意報というワード…注意報だから注意してればよい…ではないということを理解してもらえたらうれしいと感じてます。これは、前の章での「50cm」でもなかなか、転倒があることや沿岸の筏などの施設が流される実績があることもそうですが、さらに踏み込むと、「津波」という災害が少ないため、実績に乏しい・何が起きるかまだ不明な点が多いというところになります。なので、下記の有川先生のHPにあるように、津波が起きたら河湖海から離れるが原則になります。でもなかなか情報を得ることが難しかったりします。携帯電話で最近は割と簡単に得ることもできますが、河湖海にいて気づいていない方がいらっしゃたら、「注意報出ているので、離れたほうが良いですよ」と「お声がけできる」と良いと考えられます。

2.瀬戸内海での津波の挙動

授業で見せました、香川県のシミュレーションのリンクを下記に示します。四国全域のデータが授業で使用した動画になります。広島県の公式データも掲載いたします。(ダウンロードになります、注意してください)

重要なのが、授業でもお知らせしましたが、何度も東西から入る津波を反射し、複雑な水の流れになるものでした。3時間刻みで、20時間程度流れが落ち着かない可能性がある事を説明したと思います。この部分は、他の地域とは大きく異なる災害特性であることを授業で示しました。なので、一般的な津波と注意するべき点が違うことも説明しました。台風や高潮との警戒と近いものですが、授業で話した通り、津波発生後一日は沿岸に近づかないことが本当に大切です。
一方で、瀬戸内海の潮汐が津波を抑制する研究があることも紹介しました。潮汐が津波を邪魔してくれていることは、まさに瀬戸内海の海の恵みの一つだと感じます。

とはいえ、瀬戸内海は、地形的には津波災害からは歴史的にみても恵まれた土地ではあるものの、油断をしてはいけないこと、中学生の皆様だからこそできる点をさらに模索してもらいたいと思います。この先は、授業ではお話しできなかった、ぜひ調べてほしいことがあります。

3.地盤沈下による浸水の可能性

瀬戸内海沿岸は、遠浅の砂浜も多く、さらに元塩田の場所が多く存在します。特に塩田の土地を埋め立てをして、コンクリートをかぶせている場所がたくさん存在します。現在、津波に対応すべく、様々な箇所で、対応工事が進んでいますが、地震による液状化現象や地盤沈下によって、津波がより簡単に浸水してまう場合があります。授業で、瀬戸内海沿岸も、岩盤の褶曲により、直下地震も起こりやすい地域であることを少し話しました。その点でも、地震ののちに沿岸に近づくことは大変危険で、高潮のように沿岸部は床下浸水についても注意せねばなりません。

(参考)授業で紹介できなかった、直下地震が多い理由

こうした津波に関する様々な知識を整理しながら、自分を守るために、家族を守るために、友達を守るために、何ができるのか、いろいろな人たちと話し合いをしながら考えていくと、いざという時でも、焦らず、悔いのない行動ができると思います。

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