いいアイデアの条件②-アイデア出しの範囲(スコープ)を攻略しよう!
ようこそ、Kaiの思考実験場へ…!
前々回では「いいアイデア」そのものについて、前回は「アイデアの抽象度」について定義しました。今回は、良いアイデアが出る「アイデアの範囲」について紐解いてゆきたいと思います。
せっかくいいアイデアが出せたと思ったのに、あとになって選定基準を聞いてみたら、考えていたものがまったくの大外れだった…という経験はありませんか? 私自身、過去に何度も(そんな前提があったなら先に言ってくれよ…!)と思ったことがあります。
この件については色々言いたいことがありますが、今回はいいアイデアを出すために、アイデアの範囲を予め共有する(される)ことがいかに大切か、という点にフォーカスして語ってみます。
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いいアイデアの範囲を定める
過去の記事で、いいアイデアの最低条件は、目指すスコープ内のアイデアにあることと書きました。逆に言うと、この「目指すスコープ」が明確でないと、アイデア出し参加者はいいアイデアを狙って出すことができません。
では具体的にどうすれば、出てくるアイデアのスコープを絞ることができるでしょうか。その方法はカンタン。コンテクスト(文脈)や方向性を共有することです。
場合によっては(※出題者自身、”いいアイデア"の見当もついていない場合)いいアイデアの傾向を探るためのアイデア出しを行なうケースもありますが、基本的にはこの上位概念は、事前に出題者側で定めておくべき内容です。
アイデアを出す側の人は、この共有がなされずにアイデア出しを行なう場合、かなり苦しい戦いになります。可能ならこの前提について逆質問して、事前に把握しておくようにしましょう。
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STEP1. 実験〜やってみよう!〜
説明だけではイメージしにくいと思うので、実際にやってみましょう。
以下の問に答えてみてください。
Q. 「高級な果物」を思いつくだけ挙げてください
…モヤモヤしましたか? ごめんなさい。
でも今回はまさにこの、モヤモヤ感を味わってほしかったんです。
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STEP2. 観察
何を実験したのかわからない方もいるかもしれませんので、解説します。
前項の問を考え始めようとした途端、あなたの頭の中には、こんな思いが渦巻いたんじゃないでしょうか。
・「高級」って、いくらからが高級??
・サイズや季節で変動する金額をどう扱うの?
・体感的な話?それとも市場価値の話?
・スイカは果物に入りますか??
・っていうかそもそもなん(なんの目的)で?
※ そんなこと考えもしなかったよ!というあなたはとっても素直。でも、この記事の視点を取り入れることで、もうちょっとアイデアの精度が上がる可能性があるので、参考にしてみてくださいね。
こういった前提の部分で引っかかってしまうと、人間はアイデア出しを進めることができません。無理やり進めようとしてもダメです。そもそもここが定まらないと、アイデアが出ないんです。これこそがアイデア出しに頻出する「今何を考えてるんだっけ?」状態。
これを回避するために必要になってくるのが、コンテクスト(文脈)や方向性を共有して、いいアイデアを狙いに行くこと。
そうするとどんな変化が起こるのか、実際にやってみましょう。
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STEP3. 考察
さきほどの例を続けてみます。
例えば、このアイデア出しの背景に
① 我が社ではお菓子の新商品開発をしていて/② 高めのお菓子を売り出したいので/③ 高級感のある果物を使った商品を開発したい
といった事情があったらどうでしょう。
そういうことなら…と少しイメージがふくらみやすくなりませんか?
例えばこういう前提があるなら…
・お菓子か…こどもにとっての高級果物といえば、お見舞いでもらえる夕張メロン!!
・高級感のある果物といえば、美容に関心のある女性ターゲットを狙ってアサイーとかピタヤでしょう
といった具体的な考えが浮かんできます。
フラッシュアイデアではなくて、本当にいいアイデアがほしいと思うなら、こういったアイデア出しのために必要な背景をきちんと共有して、相手がちゃんと思考できる状態にする責任が、出題者にはあるのです。
余談ですが、よく「広くアイデアを出してほしいので前提を設けない」などといった言い訳を目にします。私に言わせればこれはただただ出題者側の怠慢です。そういった場合は前提を掲げた上で、「前提を覆すアイデアも許容します」とひとこと告げればよいのです。
多くの「考え始められない問題」は、この前提共有が足りていません。そしてこの前提共有の有無は、アイデアを考える側のモチベーションにも大きく影響します。
前提共有のない「なんかいいアイデアない?」という言葉ほど、発想者を苛立たせるものはありません。また、そのような問では、出題者の望む回答(アイデア)はほぼ期待できません。なぜならあなたの期待するアイデアの方向性が、相手には見えていないからです。
どちらにとってもデメリットしかないこういった問いかけが、世の中には残念なほど溢れています。
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STEP4. 考察2
スコープを狭める際に陥りがちな間違いは、「こんなアイデア」とか「こんなやり方」という具体例で制限をかけすぎてしまうこと。
そうではなく、確認したいのは前提や方向性なのです。言い換えると、ここで共有すべきことは「何を扱い、何を扱わないのか」ということ。
商品の売上を伸ばすためのアイデア出しであれば、例えば「生産コストを下げるような方法は扱わない。マーケティングで付加価値をつけるようなアイデアを扱う」とか。
サービスの差別化を図るためのアイデア出しであれば、「ターゲット層は競合と同じところを目指すが、独自の切り口のコンテンツを配置する。その切り口を考えたい」とか。
そういった、「方向性」の絞り込みをしたいです。
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コンセプトのないアイデアは、"どうでも"いいアイデアだ。
少し個人的な話になりますが、私は元々問題解決というものが大好きです。
いいアイデアを思いついた時の爽快感が好きで、数年前からアイデアソンやアイデアコンペを興味深く眺めてきました。しかしそんな私を絶望させ続けているのが、各社各インベントの提示する、出題クオリティの低さ。
あれではいいアイデアなんて到底集まりません。結果として、アイデアソンが下火になってきているのにも納得です。
世の中に溢れるあまりにもノーコンセプトな問いに、私はうんざりしています。アイデアソンもそう、アイデアコンペもそう。社内アイデア募集や、もっというと、SNSキャンペーンなどもそうです。
このアイデア発想noteは、こういった【世の中のつまらないアイデア発想依頼】状況を少しでも改善するために無料公開しています。共感してくださる方は、ぜひこのnoteをシェアして広めてください。
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結論
以下がこのnoteの結論。いいアイデアが出やすくなるスコープの狭め方です。
・いいアイデアがほしくば、問の背景にある前提を共有せよ
・いいアイデアが出したければ、アイデア出しのコンテクストを把握せよ
ただ、いいアイデアの方向性が出題者自身にもわかっていない場合があることも確か。そういう場合はどうすればいいか?
後のnoteでは、その具体的な方法を考えてみましょう。
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・いいアイデアが続々集まる!問いの立て方。
・ノーコンセプトな企画でも、いいアイデアが出せるようになる方法。
書き手:あそび屋Kai
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