「おそれ」

この質疑を見て、DVのおそれで親権を失うってどういうことなんということは重要ではないか。

法務省の要綱(https://www.moj.go.jp/content/001411491.pdf)にもその部分は明記されている。
2父母の離婚後の親権者の定め
(1)のキの項である。

まあ、①として子供に対して暴力を振るう恐れのある親というのは排除されても仕方がないであろう。ここで子供に対しては言及が済んでいるわけだけれど、②として親の一方が他方の親に暴力などを受けるおそれの有無ということで単独親権にする判断を裁判所が行うという記述があるわけである。これはそれまでなんの暴力もなかった親が離婚を契機に暴力親に変貌したから親として認めるなという話なんだろうか。それとも実際に暴力を受けまくった事実があって、そりゃ離婚した後もあえば暴力を受けるに違いないという切迫した話なんだろうか。

この書き方だと例えば父ちゃんがモヒカン刈りで鼻ピアスをしているからやばい。裁判官のようなきっちりした正装をしていないようなやばい父親なのだから暴力を振るう恐れがある!ということで親権を剥奪っていうことになるのかな。

仮におとなしそうなサラリーマンでなんの暴力の証拠もないけれど「この人は怖いのです!証拠はないけれどとにかく怖い!」って母親が言えばいずれの事例でも子供が「別に怖くない父ちゃんだよ」と言っても母親に対する暴力の恐れということで親権を失ってもう子供とは二度と会わせないという判断になるのだろうか。

②は子供は関係ないからね。「親が他方の親に」という話である。それって子供の利益になるのかな?

いや、実際に暴力の証拠がありという一文後あればそれほど変な文章ではないのだけれど、証拠がなくても一方が「暴力を受ける恐れがあるのです!」と騒ぎまくれば「おそれ」ということにはなりそうな気がする。

というのもかつてTwitterで「小魚さかなこ」だったかな?という自称弁護士さんが「DVの行政処分については事実などなくても申し立てればいいんです」と書いていらっしゃって、他の弁護士さんが「これは間違いじゃないけれど書き方が悪いよね」とコメントしたことがあるわけである。

他の弁護士さんの言い分やこの小魚氏の言い分では「たとえDVが嘘でも矛盾のない申し立てをすれば本当にDVがあったかどうかの確認はされずに住所秘匿の処分は行われるが、(離婚裁判などで)弁護士が必要であると申し立てればその住所は明らかにされる」ということであった。

けれども、そういう目にあったお父さんが青い顔をして診察室に突然現れ、病院に母子の連絡先はありませんか?と聞いてきたことが何度かあるわけである。そりゃ病院にはそんな情報はないから市役所なり区役所に行ってみれば?としか言えなかったが、もう当然そこで門前払いを食らったということなのだろう。よろよろとそのまま出てゆかれたことがある。

あれがDVをやったことに対する報いであれば仕方もなかっただろうと思っていたのだが、もしかするとそのお父さんはDVの事実もなしにそういう目にあったということであればもう同情するに余りあるではないか。

男をひたすらに叩きのめしたいというフェミニストたちのミサンドリーはわからないでもないのだが、嘘を言ってDV犯人扱いするのはちょっと酷すぎるであろう。

私が「DV!」と叫んでいる離婚後単独親権絶対維持派に懐疑の目を向けているのはそういう経験があるからである。

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