大日本帝国憲法の時代の人が家父長制反対というのは理解できるのだが

さすがに親権を「子供は親に服するもの」なんていうのは大日本帝国憲法を擁した戦前の民法ではないか。
今の親権は民法では第「八百二十条 親権を行うものは子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。」である。

多分戦前の民法で議論すればそもそも親権は父親単独親権であった訳で、家父長制とか家制度という世界になるが、そういう世界はポツダム宣言受諾とGHQによる占領の時に消えたのである。

少なくとも今の日本は「あたらしい憲法の話」以降の世の中である。だからこその共同親権なのである。

けれども、フェミニストさんはいまだに「家父長制」とか「家制度」を叫ぶ訳であるので、その脳内には大日本帝国憲法と旧民法がいまだに居座っているのかもしれない。それならば離婚後単独親権を叫ぶのはわからないでもない。彼女たちの大日本帝国憲法と旧民法では前述したように親権は父親単独親権であり、母親には親権はなかった。

そのため、それをひっくり返すことこそが家父長制打倒の道であるという意識であるのかもしれない。

多分、日本の家父長制も家制度も昭和末期から平成初期にかけて起こった相続争いで長男が負けた事で事実上は消滅したと思われる。総領の甚六という事で長男がほとんどの財産を相続したからこそ、その財産目当ての女性は舅姑に仕え、介護して財産をもらっていたのが遺産の均等相続で何もせずにただ盆暮に来てご馳走を食べていた次男坊、三男坊が遺産を掻っ攫っていったために、もう長男の権威はなくなり、平成時代には「農家の嫁と長男の嫁にだけはなるな」という風潮になってしまった訳である。

で、女性たちはもう夫側の義両親などは無視して「夫さんは妻側の両親と同居しましょう」というようになった訳である。本来ならばそれは婿養子ということになるので名字も妻側に変え、様々な出費も妻の家が出すべきということになるのだが、それが嫌な女性たちは「男は自分の食い扶持くらい稼ぎなさい。夫婦別姓にすれば妻の家は何も出す必要はないでしょう」という感じになる訳である。

しばしば多様性とはいうが、単に型を壊してかたなしにしただけのことである。家父長制を打倒すると言った女性たちは自分が自主性を持って家母長制にして自分が責任を担うことも拒否した結果、美味しいところだけ自分が取って、例えば責任とかアンペイドワークの家事育児の辛いところだけ夫に背負わせるのが男女平等という主張になってしまった。彼女たちフェミニストはアンペイドワークを男がしないと叫ぶ訳であるが、家族を養う賃労働は揺るぎない性役割として男に課し続けているしそれを透明化して、男は何も働いていないと平気で言うようになった訳である。あんたが黙って使っているその銀行口座に振り込まれたお金はどこから来たのかと言うとそんなの知らない、私の利権だと言うのかもしれない。

そんな女性たちが子連れ別居して離婚に至るとまず親権争いでは負けることはない。9割近くの事例で親権は女性の単独親権ということになる。男が親権を持つ事例は母親が死亡した場合や、複数の子供で親権を分割して取得した場合、明らかに母親が親権を持つのが不適切な場合などである。

で、慰謝料などをもらって離婚した母はそれまで自動的に振り込まれていたお金が振り込まれていないことに気づく訳である。まあ、それは父親の給料だった訳で、離婚した時点で振り込まれることはなくなっている。養育費もとにかく父親に会いたくない、関係を切りたいという母親の意思で養育費の取り決めをしないというのが養育費を取り決めない理由の半分くらいに当たるそうである。

養育費は元々、離婚してもう今生の別れを告げる子供達への父親からの餞別という意識が強かった訳である。別に離婚後共同親権でもなく、親子面会を続けることもない、むしろ父親が子供の運動会を見に行けば母親は不審者として警察を呼ぶし、学校側も親権もない別居親は親扱いせずに追い出すというのが普通の対応なのである。だから、養育費の取り決めをした事例では、多くは数ヶ月くらいは支払うけれどもその後はもう縁を切った状態で、父親は新しい人生を生き、別の女性と新しい家庭を築くというのが一般的である。だからこそ、そういうバツイチ男性は再婚できるので、女性が生涯未婚にならずに済むことになる。生涯未婚率は男性が28%であるのに対して女性は17%に過ぎない訳である。

けれども、たかだか離婚したくらいで夫の給料を失った女性は養育費を払え!という声を上げた訳である。夫という人間など不要だが、給料だけよこせ、預金通帳の金だけ渡せという叫びがこだました訳である。当時、戦前から続いていた寡婦手当、これは元々戦死した兵隊さんの奥さんに支給した年金であるが、流石にもう平和日本では戦死した兵隊さんという存在は過去のものであり、そもそも軍隊もないのである。多くは離婚した女性が貰っていた訳であるが政府もお国のために戦死した兵隊さんに報いる仕事はもう終わったと考えたのであろう。その制度は廃止したのである。そりゃ勝手に離婚しましたという人に高額の年金を支払う理由はないといえばその通りである。

それで呑気な生活ができなくなった離婚女性たちは「別れた夫は要らん。金だけ養育費として払え。金金金!」と騒ぎ始めた訳である。もう、どこかの元市長は「養育費を支払わないような悪質な男は全員刑事告訴だ!」と騒いだし、多分これからは強制的に借金させても元父親に養育費を払わせて返せなければ強制労働させる制度になるかもしれない。シングルマザーにしてみればそうやって男どもが泣きながら死ぬまで働かされることになれば「ザマアミロ!」と指差して笑えるのでぜひそうしてほしいということなのだろう。男は人間扱いする必要などない。女性だけが幸せになれば良い。それが男女平等じゃないか。男はお金を全部取られて餓死してもそれが幸せな死に方だということである。嫌なら結婚するなということである。

なので離婚後の親権に父親のことを含めるのはそもそも現状では不適切である。この今一生氏が「毒親を捨てろ」という主張をしていることは以前から承知であるが、離婚家庭においてはすでに父親は捨てられているので捨てるとするならば母親だけになるのが実際である。けれども、家制度がなくなった以上、親子のつながりは血のつながりというか、子宮で十月十日育てたという絆が全てである。だから父親は最初から家族ではない。よくいえば現金自動運搬機という労働機械であり、家事育児を無料奉仕するボランティア、他人にすぎないのである。なので最初から父親は家庭から捨てられている。給料を持ってくるということとバーターにやっと家に入れてもらえる奴婢である。

一方で母親にとっては親子関係は絶対であろう。子供は自分と不可分の存在なのである。スタートレックのボーグ(古いw)のように共生体なのである。もちろん、子供の方はそんなこと知ったことではないというかもしれない。けれども、子供を逃がさないように母親の爪は子供の柔らかい皮膚に血が出るほど深く食い込んで決して離さないと掴まれている訳である。

子供の方が毒親から逃げたいと言ってもそんなのかんけえねえとどこかのタレントのようなことを言ってしがみついている。無論、男からはそのアンバランスさは見えるのだが、女性に比べて間接的な関係の父親に発言権はないのである。

実際、例えば未成年後見人制度も存在するので財産さえあればそういう後見人を選定して親代わりを務めさせることは可能だろうが、母親が少々不適切でも母親がいればそんな制度は使われることはない。だからこそ逃げたい子供はトー横にまでたどり着くのだろうが、そこで救われることはなく、大人の毒牙にかかって或いはホストに狂わされてホストに支払う大金を求めて立ちんぼになり、パパ活の実践者になることで恐らくは梅毒などの性感染症の拡大に貢献する人生になっているのかもしれない。

そういう子供たちにはもっと適切な保護者が必要だという意見には賛成であるが、そのような親たる存在はもう社会の崩壊した日本ではそのような子供達に手を伸ばすことはできなくなっているであろう。いや、里親さんとかの募集はよく見るけれど。

無責任に「親なんて捨てちゃえば」ということは簡単なのだけれど、代わりの親は容易には見つからないのが日本である。そういう子供たちの多くは裏社会や性風俗などに流れてゆくのではないかと思うけれど、フェミニストさんたちは「男が悪い」とさえいえば済むので根本的な原因を見つけることも、ましてや解決に向かうこともないのである。

まあ、女性団体にしてみれば性風俗に浸かった女性の相談こそが女性相談の本来の仕事であるし、そういう女性をシェルターで保護するというのが本来の仕事である訳で、性風俗に落ちる子が増えれば増えるほど仕事が増える訳であるからその方が望ましいということなのかもしれない。

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