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Crimson Art:用語の解説

『Crimson Art』のキャラクターシートやカードなどには実在の団体、出来事などがたくさん出てきます。
犯人探しやキャラクターの目標達成のために必要な情報の中で、一般的な知識でないものはすべてゲーム中に説明があります。しかしプレイに支障がないものについては特に解説や注釈がありません。

そこで本稿では『Crimson Art』の世界観をより知るため、これらの用語について、実際の事実と作中における設定、コメントを交えて解説します。
なお完全なネタバレとなりますので、プレイ予定の方はプレイ後にお読みください。







用例
【用語】説明(関連するキャラクター)

【明智光秀】織田信長配下の武将ですが、1582年の本能寺の変で信長に謀反を起こして死に追いやっています。光秀が信長を裏切った理由は諸説ありますが、現代でも動機は明らかになっていません。
マダムはその要因を知っているようです。(画家)

【ヴァンパイア:ザ・マスカレード】作品のインスパイア元となったTRPGの1つで、人間社会に紛れて暮らす吸血鬼たちが描かれています。

【ウィグナー型エリテマトーデス】エリテマトーデスは免疫異常の膠原病で、全身性エリテマトーデスは指定難病です。
ウィグナー型は架空の病名です。私が監修しているほかのマーダーミステリー作品でも難病として名前が出ています。(政治家)

【ウィリアム・ブレイク】18世紀イギリスの詩人、画家。神話や宗教を題材にした独特な絵や詩を描いたから幻視者と呼ばれました。
美術商は200~300年生きている吸血鬼と想定していました。その時代の人物の中でオカルト志向であり、吸血鬼とつながりがあってもおかしくない人物として美術商の師匠に選びました。(美術商)

【ヴォラール、デュラン】ヴォラール、デュランともに19世紀~20世紀に活躍した画商です。ヴォラールはピカソやセザンヌ、ゴーギャンらを援助、デュランは無名時代のルノワールやモネ、ドガの作品を購入しました。
創造力を失ってもなお芸術に関わり続ける美術商の生き方の1つとして提示されています。(美術商)

【大阪万博】1970年に大阪で開催された国際博覧会。
東京オリンピックが戦後からの復興という当時の日本の「過去と現在」を象徴するものだとしたら、大阪万博は輝かしい「未来」を象徴するイベントでした。
既得権益(過去と現在)に対抗するため、未来に向けた力を得る実業家の隠喩となっています。(実業家)

【オピオイド】ケシやその化合物で鎮痛薬にも麻薬にもなります。(政治家)

【カイン】聖書に登場する人物でアダムとイブの息子。人類最初の殺人者として弟アベルを殺害し、神の呪いを受けて追放されます。
『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』では吸血鬼の始祖とされています。

【カガチ】『ワーウルフ:ジ・アポカリプス』における人狼の敵でワーム(Wyrm)のこと。同作では創造を司るワイルド(自然)と破壊を司るワームが対立していて、人狼はワイルドを守る戦士です。(探偵)

【カノッサの屈辱】1077年、聖職叙任権をめぐって教皇から破門されたローマ王がカノッサ城門で許しを請うた事件。(画家)

【カルタゴ】古代地中海世界の国家でローマと対立、3度の戦争を経て紀元前146年に滅亡。カルタゴはローマ帝国によって徹底的に破壊されます。
ローマとカルタゴを裏から操る吸血鬼がそれぞれいて、両国の対立は彼らの代理戦争でもありました。(画家)

【警備企画課】対テロの捜査、情報収集を行う公安部へ指示を出すチヨダと呼ばれる秘密組織が属しています。(給仕)

【警務部参事官】警務部はいわゆる人事部のこと。警務部参事官は歴代の警察庁長官の多くが経験しているエリートコースの役職です。(給仕)

【結社】吸血鬼がむやみに増えすぎて人間に見つからないよう秩序を保ち、吸血鬼同士が団結するための吸血鬼の組織です。
実業家も美術商もマダムも結社に属していますが、設定が複雑になりすぎて推理の妨げとなるために削除しました。

【公安課警備情報対策室】左翼過激派や右翼団体に対する警備事務を担当しています。(給仕)

【公職追放】第2次世界大戦の敗戦後、日本ではGHQの占領政策の一環として戦前の政治家、高級官僚、経済人などが公職から追放されました。しかし後には共産主義に対抗するため、追放された人々も復帰しています。(実業家)

【ゴーギャン】1880年代~1900年代に活躍したポスト印象派のフランス出身の画家で、ゴッホと共同生活を送り、晩年はタヒチに滞在しました。(美術商)

【ゴッホ】1880年代に活躍したポスト印象派を代表するオランダ出身の画家です。(美術商)

【財政再建団体】地方自治体の破綻状態で企業における倒産のようなもの。平成以降では北海道夕張市と福岡県赤池町が指定を受けています。(政治家)

【財閥解体】第2次世界大戦の敗戦後、日本ではGHQの占領政策の一環として三井や三菱、住友などの財閥が解体されました。しかし現在でもグループとして企業群は残っていて、完全な解体には至っていません。(実業家)

【財閥系商社】日本の5大商社のうち、住友商事、三菱商事、三井物産が旧財閥系商社と呼ばれ、財閥解体後も現在まで巨大企業として活動しています。
既得権益に対抗する実業家、既得権益を象徴するエスタブリッシュメントの政治家という構図があります。(政治家)

【サラソウジュ】平家物語の冒頭に「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし」とあります。
栄華を極めても終わりが来るという意味ですが、永遠の生を得た吸血鬼の実業家は平家物語を引用し、そんなことはないと否定しています。(実業家)

【実業家】『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』に登場する権力志向のヴェントルー氏族がモデルです。

【ジャンヌダルク】百年戦争の後半、1430年ごろに活躍したフランスの英雄。崩壊寸前だったフランスを救うきっかけとなったものの、イングランド側に捕えられて火刑に処されています。(画家)

【室長】給仕が所属する特殊組織対策室の室長。エリート警察官僚で警察庁で随一の頭脳の持ち主です。実は正義感が非常に強くて、市民を文字通り食い物にする吸血鬼を絶対に許しません。(給仕)

【セザンヌ】1860年代~1900年代に活躍したポスト印象派を代表するフランス出身の画家で、近代絵画の父と言われます。(美術商)

【捜査共助課】都道府県警同士が連携するための連絡、調整を行う課です。特殊組織対策室へ給仕が異動した後のダミーの配属先です。(給仕)

【大正時代】1912年~1926年の日本の時代。
実業家は吸血鬼になって50年程度、吸血鬼になった時点で50~60歳という逆算から大正時代生まれという設定になりました。(実業家)

【探偵】『ワーウルフ:ジ・アポカリプス』に登場するグラスウォーカー部族がモデルです。

【チッソ】日本の化学工業企業で1950年代~60年代に有機水銀を無処理で海へ流し、水俣病の原因を作りました。(探偵)

【デュポン】アメリカに本社を置く化学企業。かつてオゾン層破壊の原因物質であるフロンを発明、製造していました。(探偵)

【特殊組織対策室】実在しない架空の組織です。
ただしモデルとして、対テロ活動を行う特殊組織犯罪対策室がかつて公安課内に存在していました。(給仕)

【バイエル】ドイツに本社を置く化学、製薬企業。バイエルが買収したモンサント社は遺伝子組換え作物や発がん性のある農薬を製造しています。(探偵)

【美術商】『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』に登場する芸術愛好家のトレアドール氏族がモデルです。

【ポスト印象派】印象派の後に1880年代から登場した美術形式ですが、同時代に活躍した画家たちに対する呼称で共通の画風があるわけではありません。ポスト印象派は20世紀美術へとつながっていきます。
美術商がパリへ渡ったのは19世紀ですが、19世紀は西洋美術史が大きく動き出した時代です。印象派、ポスト印象派とそれまでと比べるとはるかに短期間で新たな画風が生まれていきます。時代はどんどん移り変わっていくのに、自分だけが取り残されていく。美的感覚が鋭い美術商だからこそ、大きな恐怖と焦りを覚えています。(美術商)

【マダム】『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』に登場する人間との調和、悟りを目指すサルブリ氏族がモデルです。時代によってさまざまな名前で活動していて、アレクサンドリアのカタリナもいくつかある名前の1つです。

【マネ】1860年代~1880年代にパリで活躍した画家で印象派の先駆者。(美術商)

【モネ】1870年代~1890年代にパリで活躍した印象派を代表する画家。(美術商)

【ラテン語】ローマ帝国、カトリック教会の公用語で、ヨーロッパでは古代から近代まで知識階級の言語として使用されました。
マダムが長く滞在していたのはヨーロッパで、ネイティブレベルで使いこなしています。一方で美術商は近代人でありラテン語は日常的に使用していません。しかし美術商より歳古い吸血鬼と交流するためにラテン語を収録した辞書を持っています。

【ルノワール】1860年代~1910年代にパリで活躍した印象派を代表する画家、後半生は画風に変化がありポスト印象派でもあります。(美術商)
【ロザリオ】吸血鬼の弱点として十字架、にんにく、銀、流れる水などが一般的に知られていますが、本作ではこれらは弱点ではありません。
【ワーウルフ:ジ・アポカリプス】作品のインスパイア元となったTRPGの1つで、地球を汚染から守る人狼たちが描かれています。



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