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子育ての先にある地元の未来

YouthPost2023年8月号6p「リーダーと語る」
 社会の最前線で活躍する方と語り合い、あらゆる角度から地域を見つめる本企画。今回は、沖縄県島尻郡南風原(はえばる)町議会議長を務める赤嶺奈津江氏と対談する。南風原町は合計特殊出生率が2.22 ※と全国で10 位、人口4万人という規模では全国トップクラスである。その背景および地域全体で行う子育てと地域活動の関係について迫っていく。
 ※総務省「平成25年~平成29年人口動態保健所・市区町村別統計」による

◆どんな選択肢も応援


(中園)南風原町は人口が多い中でも、全国で有数の合計特殊出生率ですね。
(赤嶺)町ではいかに子どもを育てやすくするか、に力を入れています。例えば沖縄で初めて子どもの医療費の窓口無料化を実現したり、全国ワースト1位だった待機児童率を減らそうとしてきました。
(中園)私も娘が4人おり、他人ごとではありません。今ご紹介のあったハード面に対して、出会いや出産を考える若者の応援などソフト面での取り組みはどうですか。
(赤嶺)沖縄では早婚と、晩婚や結婚しない人とが両極端です。結婚するかどうか、子どもを産むかどうかは本人の自由だととらえ、希望した選択肢を選べるように力を入れてきました。

◆許容する難しさ


(中園) 赤嶺議長は、青年団のOGだと伺いました。
(赤嶺)町長も私も青年団OB・OGです。青年団の仲間とは同じ経験を通し、共通の話題がありました。
(中園)青年団はまちを良くしたい、元気にしたい人が集まることで活動を共にするため、出会いの場になっています。青年団や若者団体の活動は、出生率や子育てに関連があるのでしょうか。
(赤嶺)私たちは24~25歳くらいで青年団を引退する印象で、子育てしながら活動という認識はありません。しかし、親として子どもエイサーに関わったり、青年団に入らずとも地域とつながれるよう、学習ボランティアを務める方もいます。自分ができることから関わってほしい。また、エイサーをきっかけに結婚した人を何人も知っています。それでも最近は人口増加につれて宅地が増え、以前からエイサーの練習に使っていた会場でも練習の音がうるさいと苦情が入るようになりました。沖縄中で課題になっています。
(中園)自分と違う人のことを、受け入れられるようにありたいですね。
(赤嶺)まさにそうです。私は子連れで買い物をしているお母さんを見つけたら、「私が子どもを見ているから買い物しておいで」と言いたくなります。寂しいですよね、子どもに声をかけても不審者扱いされるのは。ですので、自宅の前を子どもが通ったら必ずあいさつするようにしています。自分はこの地域の人間なんだ、と知り、心がけてもらえるように。ケガをしたり、何かあったときに助け合えるつながりを、身の回りからつくりたいです。

◆社会全体で子育てを


(中園)地元で社会教育委員の会合に出席した時に、「子どもをどうするか」という見方ばかりで親世代に対する論点が出ず、私から提案しても響かなかったのが印象的です。
(赤嶺)大事なことですね。町でも親の学び合いのための勉強会や研修会を開いていますが、数えるほどしか開催できていません。そして、参加するのは意識を持っているごく一部の人。意識を持たれていない人にどう気づいてもらうかが、これからの課題です。
(中園)社会教育とは、いわば自分で生きていくための学び。困ったときに誰に頼るかなど、学びの場としての地域が大切になっているなと感じます。最後に、今の青年団や若者に対して一言お願いします。
(赤嶺)地域にいかに根差して貢献できるか。折れそうなときには仲間で支え合いつつ、もし○○だったら楽しいな、というものを自分たちでつくりあげることに、自ら関わってほしいですね。すると、その様子を見ていた子どもたちが、ああいう大人になりたい、と思ってくれるはずです。

日本青年団新聞(Youth Post)ってなに?
 日本青年団新聞は1916(大正5)年2月に創刊して以来、青年団の全国機関紙としてその役割を果たしてきました。青年たちを取り巻く環境は、時代の移り変わりとともに大きく変化していますがが、地域課題に向き合う活動や、組織における仲間づくりを訴え続ける創刊当初からの使命は、今なお変わることなく連綿と受け継がれています。
 本紙の持つ意義は大きく分けて3つあります。まず、地域の隅々に住む若者に向け、あらゆる実践等を紹介しながら青年の活動や学習を励ましています。次に、自らの組織内だけでなく地域のオピニオンリーダーとしての役割を担っています。最後に青年の生活と権利、そして大切な故郷(地元)を守るうえで、新聞が理論的な学びや全国の活動を知るための学習資料として活用されています。これらの役割は、発行から100年以上が経った今なお変わりません。2019年にはその愛称を、全国の仲間に向けて募集しました。青年たちの活動が一人でも多くの仲間に届いてほしいという想いから、愛称を「ユースポスト(Youth Post)」とし、全8ページのフルカラーで発行しています。無料の機関紙(広報誌)として、各自治体教育委員会や社会教育関係者、県人会、関係団体等にメール配信を中心に行っています。
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