声楽タイムズ第8回「シンガポールにて」

日本声楽家協会事務局の木村雄太です。

去年の秋にシンガポールに行き、現地で活動されているバリトンの方とコンサートを行いました。
出演したコンサートの会場は以前、裁判所や国会議事堂として使われていた
アート・ハウスというヴィクトリア様式の白く美しい建物でした。

せっかくなら滞在中に色々な芸術をインプットしたいと思い、
ナショナル・ギャラリー・シンガポールという広大な国立美術館を訪れたり、
シンガポール・シンフォニー・オーケストラの演奏会を聴いたりしました。
聴きに行ったオーケストラの演奏会はヴィクトリアシアター&コンサートホールという
ラッフルズ卿の黒い像が前の広場に立っている歴史的なホールで行われました。
ホールの内部は白い壁面と、パイプオルガンが備え付けられた茶色いステージとのコントラストが美しく、
足を踏み入れた時に思わず息を呑んだことを覚えています。

その時は数日間の滞在だったので、シンガポールのクラシック音楽事情の詳しいことについては
そこまで分かりませんでしたが、演奏会を聴きに行った際に感じた面白かった点をいくつかお話します。

・詳細なプレコンサートトーク
日本の演奏会でも、コンサートの前にプレトークやプレコンサートが行われる場合もありますが、
ヴィクトリアホールでの演奏会でもプレトークがありました。
ホール内の練習室にて、プロジェクターを使い、
譜面や音源を使用したアナリーゼ(楽曲分析)が英語で行われました。
詳しい内容でしたが分かりやすく解説されていて、親子で聞いている方もいました。

・チケットもぎりがバーコード
入場の際、スタッフの方がコンサートチケットを手で切り、半券を受け取る方式でなく、
バーコードを読み取る方式でした。
この方式をクラシックのコンサートで見たのは初めてだったので面白かったです。

・スタイリッシュなチラシ、プログラム
去年演奏会を身に行った時に、ホールにて他の演奏会のチラシを見ると、どれもスタイリッシュでした。
またプログラムも厚くて本棚に並べたくなるようなものでした。
街中で見るクラシックの演奏会のチラシはお洒落なものが多く、
その宣伝効果もあってか若いお客さんが沢山来ていました。
クラシック音楽=カッコいいというイメージがあるのかもしれません。

シンガポールで聴いた演奏会は、日本との共通点、相違点それぞれありましたが、
良い音楽を聴いた後のお客さんの溌剌とした表情は、シンガポールも日本も一緒でした。
エスプラネード・シアター・オン・ザ・ベイという、果物のドリアンに外観が似た総合芸術文化施設もホールの近くにあり、
去年は建物の外と中を見ただけでしたが、また行く機会があればそこでの演奏会も聴きたいです。

現在の状況に伴って、以前行われたオペラやコンサートのストリーミング配信や、
演奏会のライブ配信など、オンライン上での音楽のたのしみ方が増えてきております。
日本の中だけでなく、海外で行われていることにも目を向けると、
なにか新しい方法に繋がるヒントがあるのかなと思います。

次回の「木村雄太の声楽タイムズ」もどうぞお楽しみに!

【お知らせ】
日声協メルマガに以下のURLより無料でご登録いただけます。
コンサートや講座など、日本声楽家協会に関する情報毎週水曜日に配信しています。
https://ws.formzu.net/fgen/S71618674/