【聴講メモ】斎藤環先生「不登校が過去最多~今学校現場に求められること」 

テーマ: #不登校 が過去最多~今学校現場に求められること
講師:筑波大学医学医療系 社会精神保健学 斎藤 環 先生 
主催: #超教育協会 オンラインシンポジウム
https://lot.or.jp/report/8639/

●序言
不登校・・・教育システムの制度疲労
「魅力ある学校づくり」より「暴力の無い学校づくり」を。
(暴力=呼び捨て、年功序列、部活の強制、校則の強制、指導と称するハラスメント等)

●不登校の定義(平成11年度 学校基本調査での定義)
「何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景により
登校しないあるいはしたくともできない状況にあるため、
年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的理由による者を除いたもの。

●不登校の定義(文科省現行ページより抜粋)
>理由別長期欠席者数については,「児童・生徒指導要録」の「欠席日数」欄の日数により,年度間に連続又は断続して30日以上欠席した児童生徒について調査している。
>「不登校」には,何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景により,児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者 (ただし,「病気」や「経済的理由」による者を除く。)を計上。
引用元:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査-用語の解説
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/shidou/yougo/1267642.htm

●不登校の人数
小中学校合計:196,127人
 (内訳)
   小学校: 63,350人
   中学校:132,777人
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302902.htm
「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」p.69

●「問題行動・不登校等」の「・」
不登校を「問題行動」としないという文科省通知に伴い、「・」の表示となっている。

●不登校の原因
「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」p.86
では、本人要因の「無気力・不安」が47%で最多となっている。
続いて「教職員との関係」が1.2%。「いじめ」が0.2%
これは、臨床現場の感覚と全く異なっている。
また、文科省が別途行った調査からは、「先生」や「友達」が要因となった
というデータがあり、上記データと乖離している。

結論:不登校の三大要因は、いじめ、教師のハラスメント、家庭の問題。
「本人要因」ではない。上記調査項目で「本人要因」は削除して良い。

●発達障害の診断を過剰に出し過ぎ
安易なラベリングになりがち。
WAISやWISCの結果から直ちに診断を出してしまう点は改めるべき。
凸凹は誰でもある。程度の問題。
ディメンジョンという考え方に賛成。

私のところに発達障害との触れ込みで来る方の50%は誤診です。
なぜ誤診と分かるかというと、治るから。

●中1ギャップ→不登校
呼び捨てになる、部活が始まる → 暴力 → 不登校

●学校の役割
学校にリソースが残ってないのでは?
暴力を減らすこと
 多くは生徒指導から生じる
 教師の負担も減るので一石二鳥
家庭との連携
 無駄な訪問を止める
 やってる感を出す訪問でなく
 家族に任せることとも重要

●質疑応答
【質問】
子どものストレス耐性が下がっているのではないでしょうか?
我慢する力、対応する知恵をつけさせないということが、
学校機能の放棄のようにも思えるのですが・・。
【回答】
子どものストレス耐性が下がっているという考え方が、
冒頭のデータの生徒の「無気力」が原因と考えることと同じ視点です。
ですから、私は賛成できません。
生徒がスクールカーストの息苦しさの空間にいることをまず考えて
いただきたいと思います。


前回聴講のメモ:
https://note.com/nisizawa1989/n/n34ffc1107183

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