【表現評論】メモリーズオフ ゆびきりの記憶 コアレビューその44 ちなつルート5(終)【全作再プレイシリーズ】
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⚫︎大輔に戻る
天川家を訪れ、天川父にちなつを直樹の呪縛から解き放つために大輔に戻ると伝えます。天川父も救われたように感謝の言葉を告げてくるけど、気になるワードがひとつ。
絶対に許さんという根拠は、少なくとも大輔の中にはありません。憎んでる様子もないし。ということはちなつしか知らない、大輔が絶対に許せない何かがまだあるってことだよなぁ。
そしてちょうど本家から帰ってきたちなつに会話を聞かれ、ちなつが逃亡します。重要な会話に偶然ばったりのパターン多すぎない? T-waveでも見た気がするぞ。
⚫︎最後の記憶のピース
ちなつを追いかけようとしてコケたところで最後の記憶を思い出します。
直樹が死んだ後、大人から鬼のように詰められたと。直樹はおめえみたいな雑魚とは違う本家の跡取り様だったんだぞと罵られ殴られ無視され避けられ。それでもちなつと一緒にいると約束したから、無視してでもちなつと一緒にいたと。でもちなつはある時急に冷たくなって、石段に呼び出したと。
と言われた挙句、突き飛ばされ、徹底的に拒絶されたと。だから俺はちなつが求めてくれる直樹になったと。いやぁ。大輔に悲しき過去だよ。本当に。ここまで悲しき過去をもつ主人公はなかなかいない。それで直樹を演じるようになったんだから、ちなつの罪はあまりにも重い。本家がそそのかしたんだろうけどさ。でも本家がそそのかす意味ある? 大輔が死んだとしても、本家に何にもメリットなくないか。直樹がいなくなってこのままじゃ大輔が跡取りになってしまうから、始末するしかないという政治が働いてたのならわからんけど。
⚫︎懺悔
いなくなったちなつを探して石段に向かう大輔。大輔の思惑通りちなつはそこにいました。
ようやくなおくんとは呼ばなくなったちなつ。俺は大輔なんだよ。それでも大輔とは呼ばない。貴方呼び。主人公をガチで殺そうとしたヒロインはここまで一人もいない。普通おらんだろ。なおくんに依存させられた末路とも言える。
復讐して気持ちえぇ〜となってたんですかね。流石にそういう感じではないと思うが、どういう気分で復讐していたのかは謎。
シリーズ随一のイケメン大輔君が何故かモテなかった理由が判明してしまう。なんという罪深さ。これが一番の大罪だろ。好意を持っていた女の子がこれまで30人くらいいたかもしれないのに。どうしてくれんのマジで。
で、なんだかんだあって抱き合ってキスします。毎回同じこと言ってないかな。なんだかんだで抱きあってキスするとか10回くらい言った気がする。なんだかんだの部分に特に考察すべきポイントがないので、なんだかんだで終わるんだよね。結局相思相愛ですよねって確かめるだけ。
「王子様のキスには解毒作用があるからな」という、誰もが人生で一回も言わないセリフを平然と言ってのける大輔君。やっぱりイケメンは違いますわ。
ちなつは大輔になることが他人に戻ることだと考えていましたが、俺はちなつとゆびきりをした時はいつも大輔だったぞと言うと、そうか、全部だいちゃんだったんですねと納得しました。10年間ずっと一緒にいたのは大輔だったとようやく理解する。理解したらもうこのお話は終わりですよね。
70時間引っ張ってようやく大輔としてちなつと向き合えましたと。長かった。本当に長かった。この結び方はいいですね。悪い魔女と王子様の恋愛譚。ちなつは間違っても善良なヒロインとは言えない。真人間とも言えない。10年間も人を騙して幸せを貪ってた悪い魔女。大輔は正統派のイケメンだし性格もいいから王子様。自分を王子様に例えるのは大輔しか許されないだろ。隼也とか累さんでも許されないわ。
⚫︎鷹見大輔
最後に各ヒロインに会いに行って、鷹見大輔に戻っていることがわかります。ちなつも大輔と呼んでくれるようになって無事ハッピーエンド。ハッピーエンドか? 本家どうすんの? ちなつが本家の跡取りの嫁候補であることには変わりなくない? もう本家はオワコンなのか。その辺は有耶無耶だったけどまあいいか。いざとなったら二人で逃げればええねん。
⚫︎想い出はゆびきりの記憶へ
ちなつ・霞ルートのED曲です。これもいい曲だなぁ。ゆびきりは名曲が多い。Sincerelyとか風の旋律とか幻影のメビウスとかED2曲とか。名曲製造マシーン。
⚫︎エピローグ
大輔の死亡診断書で揉めまくり、現当主は力を失い、天川父が力を持つようになっていると。ちなつが本家の嫁になることは阻止できそう。死亡診断書偽造の責任を取らされたのは南雲ということで。霞はあの後実家の騒動が収まったと言って帰っています。父親がオワコンになったということか。学校でちなつは大輔の恋人を自称しています。なおくんの嫁はもう終わり。学校でも鷹見大輔として定着している。どういう説明があったのかはわからない。エピローグの描写見るとやっぱり大輔君モテモテじゃん。悪い魔女のせいでどんだけ損害を被ったのか。
んで、最後に霞が藤林に転校してきます。クラスメイトの第一声はやはり美人。どんだけ美人なんだよ。もうお前がNo. 1だよ。霞の自己紹介によると、大輔は昔霞を振った相手らしい。昔からちなつLOVEだからね。そうなるよ。霞は昔を掘り起こしてからかってるだけだろうけど。そんなこんなでみんな楽しそうな終わり方でした。ここまで全て解決して終わることあんまりないよね。よかったなー。全部解決ハッピーエンドで。
そして恒例のタイトル変化です。圧倒的可愛さ。
次は最後の霞ルートです。ついに真ヒロイン来るぞ。真ヒロイン。
⚫︎ちなつルートまとめ
いやぁ。長かったですね。物語がタイムカプセルで一旦落ち着いたかと見せかけて、さらに深い構造を持っているという二段底になっています。これはゆびきりだけかな。IFもそこに入れていいか。星天もそうか。ゆびきり以降はこの構造を踏襲しているのかもしれない。双想もそうなるんじゃないでしょうか。
自称しているように、これほどに悪い魔女という言葉が似合うヒロインはいない。一回はガチで大輔を殺そうとしたくらいだし。悪い魔女と違ってタチが悪いのは、可哀想なバックグラウンドを持っていることと、可愛いことです。残念なことに可愛いんだよなぁ。ちなつ。嫁嫁言われて嬉しくないやつおらんだろ〜という。明らかに悪どい女なわけですが、可愛さで許せてしまうというやつですね。可愛いは正義。それがちなつルートの教訓です。あとCGのクオリティね。ちなつと霞は明らかにCGのクオリティが高い。力を入れるべきところに力を入れているという点ではいいことなのかもしれない。