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ゆるり散歩

4月になって、ようやく例年より長い冬の寒さが終わり、心地よい涼しさの春になりました。そんな日、僕は新宿へ買い物に出掛けようとしていました。


外は晴天で、売り場まで歩いて行っても一時間もかからないと姉から話を聞いていたのもあり、僕は徒歩で向かうことにした。現在僕は東京で姉の家に居候している身。節約も兼ねて一石二鳥である。

颯爽と家を出る。僕は、つい数日前まで大阪に住んでいて、東京の土地勘は殆どない。このような時は、文明の利器であるGoogle MAPを使うのが定跡としたものだが、時間に余裕があったので使用せず、気の向くままに歩みを始めた。
歩みを進めるお供は、音楽だ。景色や気分に合わせて曲を流すのが僕の散歩の楽しみ方。僕はイヤホンをつけて、iPhoneで曲を探す。

うーん、スタートダッシュに合う曲はなんだろう。あ、走れマキバオーにしよう。

脳内会議で曲が決まった。走れマキバオーは名曲だ、以前僕の将棋の師匠である中田先生とお酒の席でその話で盛り上がったなあ。
ぐんぐんと、歌の中でマキバオーは駆け始めた。僕もつられて、やや早歩きをしてみる。

桜満開!うぇーい

そんなこんなをしていると、中央公園近辺に着いた。歩道はとても広く歩きやすい。至る所に桜の木が見える。やっぱり桜はいいなぁ。曲をヨルシカの「晴る」に変えて、景色を楽しもうと歩みを遅めた。気持ちが落ち着いてきて、考え事がしたくなった。昨日ネット将棋を指して気になった局面を頭に思い浮かべる。



でかすぎて写真に納まらない

のんびり歩いていると、高層ビル群が見えてきた。ここら辺は、そういうエリアらしい。東京はなんかすげえなぁ。厳かな雰囲気を感じて、曲を白い巨塔のオープニングテーマ変えてみる。
気分は財前教授だ。エリート気分で、のしのしと歩きながら、将棋を脳内で思考する。考えていると、何故か昔の記憶が湧いてきた。修行時代、古賀くんと服部くんと銭湯で長時間、脳内で詰将棋とか検討をしたなぁ。また仲間達と、脳内将棋研究会とか、登山をしながら将棋の話とかも沢山したなぁ。
そんな懐かしくて良い気分になっていたら、休みの日なのかカップルがどんどん歩道に襲来してきた。現実を見せてくる。みんな楽しそうだなぁ。僕は将棋の思考に没頭した。

没頭して歩いていると、迷子になった。目に映る大きい建物に沿って向かっていれば目的地に着くような気もしていたのだが、そんなに甘くなかった。仕方なく、Googleマップを開く。
「次は左方向です。」
先程、そちらの道からワタクシ歩いて来たんですけど。
喧嘩腰だなぁ。曲をロッキーに変えた。Google mapよ、いざ勝負だ。
僕は迷わずGooglemapに示されない道を歩く。Google mapは、すかさず僕の歩く道から目的地までの道のりを再提示してくる。ほう、やるじゃないか。そんなこんなで何とか新宿駅に辿りついた。

「ご利用の経路は屋内を通る可能性があります。」

Google mapが新宿駅の地下道を示してくる。僕は地下に潜る入り口に立つ。新宿駅の地下道は、ゼルダのダンジョンよりも迷宮って聞いた事がある。腹を決めて、恐れ恐れ足を踏み入れる。新宿ダンジョンをしばらく彷徨ってみる。

うーんやっぱ無理、

明るい地上に戻る。諦めて地下道を使わずにそこら辺を適当に歩いてみた。Googleさんも察してくれて地上のルートを再提示をしてくれた。ありがとう。


伊勢丹はハッキリと見える。oioi,ルイヴィトンも辛うじて写っております。

なんとか中心街にはいり、左に伊勢丹、右手にololが見え、目の前にはルイヴィトンが見えた。何だか、ビバリーヒルズの気分になってきた。
目的地まで後少しとなり、そろそろ散歩は終盤戦だ。最後はこの曲、渡辺美里の「my revolution」
父親がこの曲が好きで、その影響もあって僕も好きになった。曲の始まりの所がすきだ。小学生の頃、実家に誰もいない時にここぞとばかりに一人で熱唱をしていたら、姉が友達を連れて家に帰ってきて笑われたっけ。あれは恥ずかしかったなぁ。

ついに目的地に着いた。イヤホンを外し、Googleマップを閉じる。
目的地まで一時間半もかかってしまった。でもいいのだ。この時間は無駄ではなく、至福の時間であったからだ。
と、いうことにしとこう
皆さんの散歩の楽しみ方はどんな感じだろうか?




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