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小説家の頭の中

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日々のこと。書籍化にいたるまでの話など。
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#小説

承認欲求が強すぎる人

   昨日、どこかのお寺の住職が書いた記事を目にした。  承認欲求はだれにでもある欲求だが、強すぎると見下されるから注意してとのこと。 家族自慢、旦那自慢、嫁自慢、子供自慢、学歴自慢、車自慢・・・・、 常に会話の中に自慢をねじ込んでくる人やネットで世界中に自慢を垂れ流す人。承認欲求が強すぎて、他人から認めてもらいたくて仕方がない人のことを言っている。  他人からどう見られているか気にしたところで、他人はあなたに興味がない。他人からの評価を常に気にしなければならない精神状態

小説の値段

 小説を書くきっかけは、ある科学の研究者に言われた言葉です。 「君の話し方、文章の切れがいい。なんでもいいから文章を書いてみてはどうか」 ちょうどその頃、ある出版社で著作権処理の仕事をしていました。毎日、作家達の書いた文章の一部を読んで、その作家に掲載の許諾をいただくという仕事です。 こんなゴミみたいな文章で小説家デビューできるのなら私にもできる。 ある日、ふと思いました。  大阪堺筋本町駅の地下でランチをしながらパソコンを広げ原稿用紙20枚ほどの短編を書きました。  

猪木さんがつくった新日本プロレス

ファンになった経緯 こんな私でもストレスがあるそうで、しばらく体調を崩す。食事に気を付けること、薬、薬、薬。 突然死の可能性があると言われ、検査でわかって良かったと思う。  そんな時、知り合いに「元気になって」と紙袋を渡された。中身は新日本プロレスのDVD。 これを機に、私がプロレスファンになったら一緒に語れる、最終的には一緒に観戦できるかもと期待したか?と思いつつ笑顔で受け取った。  ながらく使っていなかったDVDにディスクを挿入。 最初の3試合は、はっきり言って大学

失ってから気づく

 人はなぜ失う前に気付くことが出来ないのだろう。当たり前だった存在が、ある日突然、自分の元から離れる。二度と帰らぬ存在になった時、どんなに嘆き悲しんでも戻ってこない。そんな悲しみと後悔を経験したにも関わらず、また繰り返す人の愚かさ。     少し前、お世話になった人がすごく落ち込んでいた。これまでやってきた研究は無意味だったのではないか、そして、もう研究を止めようかと思っていると言った。  似たようなことを私も言ったことがある。その時、相談に乗ってくれ、励ましてくれたのは、こ

山中伸弥さんも読んだ科学者のエッセイ

 当時住んでいた街には古本屋が多くあった。山側へ上がったところの古本屋は、本の種類が多く珍しい洋書がたくさんある。 適当に積み上げられた本が乱雑に置かれていて通路も狭い。 ここの店主は、買い付けばかりして整理が追いついていないのだろうと、奥に座って店番をしているおじいさんに目をやった。  とりあえず、手前の山から物色する。 よく見ると、それぞれの山が分類されていることに気が付く。 「お、やるな!」 おまけに古くて見たこともない洋書がある。年代ものだと感じるくらい、少し茶色か

太宰治について

 芥川龍之介「鼻」 この話、好きです。 長い鼻のお坊さんは、色んな方法で鼻を小さくすることに成功する。 これでみんなに笑われない。 そう確信していたのに、前より笑われるているような気がする。 悩んでいるうちに、ある日、元の鼻に戻ってしまう。 これで、もう誰にも笑われない。    世間は、長い鼻を気にしているお坊さんのことを笑っていたということ。 コンプレックスを悟られまいとするお坊さんに人間らしさを感じます。 短編なのに深い内容で、さすが!芥川龍之介です。

自費出版の勧誘

 キャンパス・スコープ(大学生と読売新聞が作る)に、web小説と電子書籍のことが書いてあり、ふと思い出しました。      小説を書き始めた頃、ある出版社から電話がありました。 「あなたが応募された作品のことでお話しがあります。とてもいい作品なので他のみなさんと共同で残してみませんか?ご賛同いただけますか?どうですか?ご賛同いただけませんか?」と、きちんとした説明をすることなく、賛同して欲しいとばかり繰り返し言われ、腹が立ち「何に賛同して欲しいのか、あなたの説明はわかりにくい

小説の技法

 以前はどこにでも本を持って出かけていたが今はスマホで読むことが多くなった。 お蔭でカバンが軽くなり肩こり解消に繋がっている。  短編小説が、一次審査を通過して、まず読んだ本は ・書くことについて(スティーブンキング) ・文章読本 (三島由紀夫) この2冊だった。  三島由紀夫の文章読本には、いい情景が書かれている。 とてもじゃないけど、真似できない。 一流の作家は、情景で人を唸らせることができると理解した。  ネットで小説講座と題して読者の質問に答えている作家の意見を

博士号取得、その後は

 博士とは、大学卒業後に大学院の博士後期課程を終えた人が得られる称号で、研究職や教授職を目指す人が進む道です。 日本では、ほとんどの人が学士や修士のまま就職する人が多いかと思います。  博士は、研究者として出発します。ポスドク(博士研究員)から始まるのですが、博士号を取得できたとしても、すぐに仕事ができるかどうかわからない厳しい世界です。 「かざみどり」は、最初、大学生が抱えている悩みや奨学金 (学費ローン)について書こうと思い始めました。  瀬戸颯太(せとそうた)は、