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小説家の頭の中

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日々のこと。書籍化にいたるまでの話など。
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2022年3月の記事一覧

自費出版の勧誘

 キャンパス・スコープ(大学生と読売新聞が作る)に、web小説と電子書籍のことが書いてあり、ふと思い出しました。      小説を書き始めた頃、ある出版社から電話がありました。 「あなたが応募された作品のことでお話しがあります。とてもいい作品なので他のみなさんと共同で残してみませんか?ご賛同いただけますか?どうですか?ご賛同いただけませんか?」と、きちんとした説明をすることなく、賛同して欲しいとばかり繰り返し言われ、腹が立ち「何に賛同して欲しいのか、あなたの説明はわかりにくい

小説の技法

 以前はどこにでも本を持って出かけていたが今はスマホで読むことが多くなった。 お蔭でカバンが軽くなり肩こり解消に繋がっている。  短編小説が、一次審査を通過して、まず読んだ本は ・書くことについて(スティーブンキング) ・文章読本 (三島由紀夫) この2冊だった。  三島由紀夫の文章読本には、いい情景が書かれている。 とてもじゃないけど、真似できない。 一流の作家は、情景で人を唸らせることができると理解した。  ネットで小説講座と題して読者の質問に答えている作家の意見を

博士号取得、その後は

 博士とは、大学卒業後に大学院の博士後期課程を終えた人が得られる称号で、研究職や教授職を目指す人が進む道です。 日本では、ほとんどの人が学士や修士のまま就職する人が多いかと思います。  博士は、研究者として出発します。ポスドク(博士研究員)から始まるのですが、博士号を取得できたとしても、すぐに仕事ができるかどうかわからない厳しい世界です。 「かざみどり」は、最初、大学生が抱えている悩みや奨学金 (学費ローン)について書こうと思い始めました。  瀬戸颯太(せとそうた)は、

濹東綺譚で永井荷風が言いたかっこと

 濹東綺譚(ぼくとうきたん)は、永井荷風の短編小説です。 作家 (荷風)が一人の娼婦に入れ込み、足しげく通うという内容ですが、完全に割り切った間柄でなく会話が粋です。 商売なんだから、お金を払ってお世話になったら「はい!さようなら!」でいいはずなのに。 遊び慣れた荷風だから、娼婦に対しても愛を持って接していたのかも知れません。  さんざん女遊びをしてきた荷風ですが性欲の衰えを感じる年齢になっていきます。 「花の散るが如く、葉の落(おつ)るが如く、わたくしには親しかっ