【読書ノート】『現代思想入門』-千葉雅也

 この本は最近読んだ本の中で、一番刺激的で、エキサイティングなものだった。現代思想(主にフランス)は非常に難解で、自分で原著や翻訳本にあたっていくことは相当な難行である。しかしこの本はそれらの思想のエッセンスをものの見事に抽出し、かつ読みやすい日本語で(現代思想の翻訳本の中には日本語の体をなしていないものもある)解説してくれている。

 特にドゥルーズの解説は必読だ。今までもドゥルーズ本人の書いたものや話したもの、あるいは日本の哲学者による解説書など色々読んできたが、一度も「わかった」ということがなかった。そんな中で千葉先生の解説は本当に素晴らしい。「リゾーム」「差異」「ノマド」など、ドゥルーズの提示したあらゆる概念について、平易な言葉で解き明かしてくれている。

 この本を読めば、一度は挫折した現代思想の原著やより高度な解説書をもう一度開いてみようという気持ちになる。こういう良き入門書があらゆる分野においてどんどん増えていって欲しいものだ。

 

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